伊藤隆太郎2021年7月15日 16時00分 日本海のヤリイカ漁が豊漁だ。一昨年からの不漁を乗り越える勢いだが、漁師たちの顔色はさえない。新型コロナ禍で飲食店の需要が減り、価格が下がっているためだ。「苦境を救いたい」と、販路づくりに立ち上がった旅館もある。 「厳しさから一転し、2月下旬から記録的な大豊漁なのに……」。宗像漁業協同組合(福岡県宗像市)の桑村勝士組合長の表情は厳しい。旅館や飲食店に生きたまま届ける新鮮さが自慢のヤリイカが、「壊滅的なダメージを受けている」という。 桑村さんによると、ヤリイカ漁のピークは春と秋の2回。春季で比べると、2019年は不漁のために1キロ当たり2千円以上に値上がりし、翌20年も2500円前後が続いた。21年から一転して豊漁になるなか、コロナ禍で需要が低迷し、1600~1800円に下がったという。 例年なら旅館や料理店へ出荷される高級品が、スーパーなどに流れ、価格の下落に拍車をかけた。今年は1月中旬と5月上旬にコロナ感染が拡大。その谷間の4月ごろは2千円以上に持ち直していたことから、「影響は明らか」と桑村さん。 卸し先の旅館には支援に動き出すところもある。 イカの生きづくりを店の看板メニューにする宗像市の旅館「御宿はなわらび」の小林大二さん(33)は、卸値を上回る値段でヤリイカを仕入れて料理人が素早くさばき、すぐに瞬間冷凍し、真空で包装してネットで通販する試みを始めた。 小林さんは「漁港までの近さ、料理人の腕、最新の冷凍技術。この三つが合体し、料理店に負けない新鮮さを保っている」と、胸を張る。経営が厳しいなか、マイナス60度で急速冷凍する専用冷蔵庫に投資した。 7月20日まで、大手クラウドファンディングのサイト経由で購入者を募っている。その後は未定だが、小林さんは「販路を広げたい」と言う。 昨年までの不漁はヤリイカに限らず、スルメイカやケンサキイカなど全般に広がり、全国規模だった。国立研究開発法人「水産研究・教育機構」によると、海水温の上昇などでイカの孵化(ふか)や生育が影響を受けたためだという。今年は回復傾向にあるものの、日本海の水温は今年も「平年よりかなり高め」と予測しており、予断を許さない。(伊藤隆太郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
飯塚幸三被告に禁錮7年を求刑 池袋暴走事故で検察側
東京・池袋で2019年4月に車が暴走して、母子が死亡し9人が重軽傷を負った事故の公判が15日午後、東京地裁であった。検察側は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対し「アクセルを踏み続けたことが事故の原因だ」として、同罪の法定刑の上限にあたる禁錮7年を求刑した。 「アクセル踏んでない」 「車に異常」 被告側は無罪主張 飯塚被告は事故から約10カ月後の20年2月、在宅のまま起訴された。同年10月の初公判で飯塚被告は、起訴内容を否認して無罪を主張。「アクセルを踏み続けたことはないと記憶している」「車に何らかの異常が生じ暴走した」と述べた。 検察側は冒頭陳述で、飯塚被告がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み続けた過失によって事故が起きたと指摘した。 根拠として①加速機能やブレーキを制御するセンサーなどの電気系統を事故後に調べても異常を示す故障記録はなかった②ブレーキランプが事故当時点灯していない―などを挙げた。また、飯塚被告の車は08年に新車で購入しており、「事故1カ月前の点検でも不具合は見つかっていない」とも述べた。 事故で亡くなった母子は、自転車で横断歩道を渡っていた松永真菜さん(当時31)と長女の莉子ちゃん(同3)。真菜さんの夫の拓也さん(34)は事故5日後に匿名で会見し、「運転に不安がある人は運転しない選択肢を考えて」と訴えた。 交通事故をなくしたいとの思いから、飯塚被告への厳罰を求める署名約39万筆を集めて東京地検に提出。その後に実名を公表し、飯塚被告に損害賠償を求める民事訴訟も起こした。 また、交通事故被害者の遺族らでつくる一般社団法人「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」に所属して、被害者側が裁判を傍聴するなどの際に会社を特別に休める制度の新設を政府に求めている。 今年6月21日の公判では、拓也さんら遺族が被害者参加制度を使って飯塚被告に直接質問した。「命を奪った事実を真剣に考えたか」とただすと、飯塚被告は「私にも子がおり、妻と子が突然亡くなったと考えると本当につらい思いをしたと思う」。「主張に無理があると思わないか」との問いかけには、「車を止められなかったことは悔やんでいる」と述べるにとどめた。 拓也さんの自宅は、3人で暮らしていたときのままだ。壁に貼られた莉子ちゃんの絵、本棚の絵本、リビングに置いたおもちゃのキッチンセット……。寝室の片隅には、事故時に妻と娘が着ていた服が袋に入ったまま置いてある。 事故現場には、いまも足を運ぶ。「事故が起きた一瞬とは釣り合わない、長い苦しみを感じています」(村上友里、大山稜、新屋絵理) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
男児用水着、メッシュの裏地は陰茎の皮膚はさまるおそれ
国民生活センターが、裏地にメッシュ素材を使った男児用水着を使用しないよう呼びかけている。陰茎の皮膚がメッシュの小さな穴にはさまり、けがをするおそれがあるという。 同センターによると、男児がけがをする事故は毎年のように起きているといい、2010年以降では、「海水浴後に水着を脱ごうとした際に裏地の編み目に皮膚が入り込んで脱げず、病院に運ばれた」などの相談が少なくとも12件寄せられている。 日本小児科学会によると、新潟県で実際に起きた事故では、男児(6)が着用した水着の裏地のメッシュの穴の大きさは縦2・5ミリ、横1・8ミリだったという。穴にはさまった皮膚が水ぶくれ状態になって腫れ上がり脱げなくなったという。小児の陰茎の皮膚は非常に伸びやすく、メッシュの小さな穴からも外側にはみ出しやすいことが原因とみられるという。 業界団体は10年にメッシュ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:225文字/全文:601文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「アスリート画像で稼げる」 無断掲載容疑で書類送検
土舘聡一2021年7月15日 12時18分 テレビで放送された女性競技者の映像の静止画をアダルトサイトに無許可で載せたとして、警視庁は、いずれもウェブサイト運営業で、東京都と千葉県に住む30~50代の男3人を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで15日、書類送検したと発表した。 東京五輪・パラリンピックに向け、同庁は5月からこうした事件の摘発を続けており、個人では5人目。同庁は「悪質な行為は積極的に取り締まる」としている。 保安課によると、3人は2018年2月~20年7月、テレビ番組で放送された女性競技者の映像から切り取られた静止画にわいせつな文言を添え、自ら運営するアダルトサイトに無許可で掲載。テレビ局の権利を侵害した疑いがある。ウェブ上で得た画像を転用していたという。 いずれも容疑を認めており、動機について「生活費を稼ぐためだった」「女性アスリートの画像を投稿すれば稼げると思った」「ネタになりやすいと考えた」などと話しているという。 競技者の画像を性的に利用する行為をめぐっては、日本オリンピック委員会(JOC)が昨年11月に抗議声明を出し、公式サイトに通報窓口を設置した。窓口に寄せられた情報は警視庁に提供しており、同庁が違法行為がないか捜査している。(土舘聡一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「顧客にイベント見せようと」夢の島でヘリ低空飛行容疑
大山稜2021年7月15日 12時36分 許可を得ずにヘリコプターで超低空飛行をしたとして、警視庁は15日、東京都江戸川区の船舶販売会社役員の男(64)を航空法(最低安全高度)違反の疑いで書類送検し、発表した。男は容疑を認め、「顧客にスポーツカーの展覧イベントを近くで見せようとした」などと供述しているという。都内で低空飛行した航空機の摘発は初めて。 東京湾岸署によると、男は1月16日正午ごろ、東京都江東区夢の島3丁目にある船舶の係留施設「東京夢の島マリーナ」の上空をヘリで飛んだ際、地上から50メートル以下の低空で飛行した疑いがある。施設の職員と目撃者から「ヘリが危険を感じるくらいの高度で飛んでいる」と通報があった。 ヘリは船舶販売会社の所有で、男はこの日、顧客サービスとして都内の上空を飛んでいた。スポーツカーの展覧イベントを間近で見せるために高度を下げたという。 航空法施行規則では、地上150メートルを下回る高度で航空機を飛ばす場合は国の許可が必要と定めている。現場周辺には東京五輪・パラリンピックの競技施設が集中しており、署は「危険なので、今後も低空飛行を目撃したら通報をお願いしたい」と呼びかけている。(大山稜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
無観客の五輪、警察庁長官「警備に大きな変更ない」
2021年7月15日 13時34分 警察庁の松本光弘長官は15日の定例会見で、東京五輪の首都圏などでの競技が無観客で行われることについて、「警察が行う警備、交通などの対策の内容は著しく変わるわけではなく、実施体制に大きな変更はない」と述べた。 松本長官は、選手や要人、会場などの安全の確保やサイバー攻撃の対策などに万全を期し、テロ対策をはじめとする諸対策を徹底する考えを強調した。 また、棚橋泰文国家公安委員長もこの日の会見で「安全、円滑な大会の実現と市民生活、経済活動を両立するには国民の皆様の協力が不可欠だ」と述べ、警備や交通対策への理解を求めた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
妻か夫が名字を我慢、なぜ 菊間千乃さん×牧野紗弥さん
今年、雑誌「VERY」誌上で夫婦別姓を選ぶことを公表して注目を集めたモデルの牧野紗弥さんと、弁護士で元フジテレビアナウンサーの菊間千乃さん。選択的夫婦別姓を望む2人が、夫婦の名字をめぐる社会の意識や空気について語りました。 ――菊間さんも牧野さんも、「別姓の話は飲み友達やママ友とはしづらい」と話されていました。なんでこんなに名字の問題って話題にしにくいんでしょうか。 菊間 なんででしょうね。 牧野 日本では、自分の思いに気づいて言葉をあてはめて発言するという「言語化」の教育を受けていないということはあるかもしれません。 それをしないとどこですれ違っているかもわからなくて意見のすりあわせもできないと思いますが……。 菊間 言語化は大事だけどすごく難しいから、なんかちょっと置いといてということになるんでしょうね。 ――今の日本では法律婚をした場合、夫の名字か妻の名字を選びます。そういう意味では、すでに二つの選択があってある意味「平等」だという意見もあります。 牧野 いま、厚生労働省の調べでは、日本では法律婚をしているカップルの96%が、女性のほうが名字を変えていますよね。 これは当たり前じゃないのに当たり前ととらえてしまいがちな現状があります。それぞれの夫婦が自分たちらしくアレンジするにはどうすればいいか、考えることが大事だと思います。 菊間 96%の女性が氏(名字)を変えているけれども、その裏を見ると4%の男性も氏を変えているわけですよね。 つまり日本の法律婚をしているあらゆる夫婦のどちらか一人が、氏を変えているわけですよ。 何とも思わずに「いいよ」と変えている人ももちろんいるかもしれない。でも、名前なしで私が私ですっていうことを相手に伝えるのってすごく大変です。それだけ名前には大きな力があり、アイデンティティーそのもの。その「人格的利益」を夫婦のどちらかが失わなきゃいけない。 それをどちらが失うの?というのを、全ての日本中の夫婦が選んでやっているわけですよ。 ということはつまり、96%ということじゃなくて、私は100%っていうことだと思う。 ――女性の方が名字を変えている割合が仮に96%でなくて50%だとしても、合計が「100%」であることに変わりはないということでしょうか。 菊間 はい。絶対にどちらかがどちらかに寄せるわけだから、夫婦の仲が平等じゃなくなりますよね。 記事の後半では、対談の全編動画もご覧になれます。 寄せられた方が「寄せてくれ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
介護疲れ「妻をあやめました」 病身82歳への実刑判決
長男夫婦や孫も一緒に暮らす3階建ての一軒家。82歳の男が選んだのは、自ら介護していた79歳の妻の殺害だった。 「妻をあやめました」。事件は、被告の男からの110番通報で発覚した。被告の裁判員裁判は今年5月、東京地裁で始まった。起訴内容によると、2020年12月2日午前7時ごろ、東京都内の自宅ベッドで、妻の首を絞めて窒息死させたとされる。車いすに座って出廷した被告は、殺人の罪を認めた。 弁護人「命を奪って、どうしようと思ったのですか」 被告「私も一緒に天国へ行って、2人が病気から解放されればいい。そんな気持ちがありました」 42年連れ添った妻を殺害するまでに、なにがあったのか。検察の冒頭陳述や証拠として採用された捜査資料などから振り返る。 大学を卒業した被告は、信用金庫の職員として勤め、60歳で定年退職した。妻とは1979年に結婚。2014年ごろに長男夫婦と同居を始め、8歳と6歳の小学生の孫とともに3世代計6人で生活した。家族の関係は良好だった。 妻は19年から、全身の皮膚や内臓が硬くなる難病「全身性強皮症」で入退院を繰り返すようになった。翌20年の秋に肺炎が悪化して入院したが、自宅療養を望んですぐに退院した。 要介護認定は2番目に重い区分で、自宅には連日、介護スタッフと看護師が訪れた。午前9時に介護スタッフ、10時に看護師、午後3時に再び介護スタッフ、最後は5時に看護師が来た。 弁護人「介護スタッフや看護師がいないのは何時間ぐらいですか」 被告「日中はけっこう来ていただいたけど、夜遅くになると、こっちで見るしかありませんでした」 弁護人「トイレはベッド周りで済ませられましたか」 被告「それが、しなかったんです」 弁護人「なぜですか」 被告「部屋でにおいがするのがいやだっていうことで……」 療養中もリハビリに取り組むなど前向きだった妻はベッド脇のポータブルトイレの使用を嫌がったため、被告は毎夜、歩行器を使う妻を支えながら約5メートル先のトイレまで連れて行った。 長年連れ添った妻を介護していた被告ですが、自らも視力を失うなど、体調が思わしくありませんでした。法廷ではどんなやりとりがあり、裁判員はどのような判断を示したのでしょうか。 さらに一晩に10回、異変が… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
上半期の警察官・職員の懲戒、過去最少 コロナ禍影響か
2021年7月15日 10時30分 今年上半期(1~6月)に懲戒処分を受けた全国の警察官と警察職員は81人で、昨年の同時期から33人減った。警察庁が15日発表した。18人が逮捕されたが、処分者、逮捕者ともに統計が残る2000年以降では最も少なかった。 警察庁は「コロナ禍で外出する機会が減ったことが影響した可能性はある」としている。 処分の種別では免職が8人(昨年上半期から9人減)、停職が24人(同1人減)、減給が32人(同21人減)、戒告が17人(同2人減)。処分の理由は、盗撮や強制わいせつ、セクハラなどの「異性関係」が昨年から半減して21人。「窃盗・詐欺・横領等」は11人減の13人、「交通事故・違反」は5人減の11人だった。 逮捕の容疑は「わいせつ関係」が6人、飲酒運転などの「交通関係」が4人などだった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学術会議問題とは何か 任命拒否された加藤陽子氏が語る
編集委員・塩倉裕2021年7月15日 5時00分 なぜ任命拒否は行われたのか――。日本学術会議の会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題をめぐり、6人のうちの1人で歴史学者の加藤陽子・東京大学教授が朝日新聞社のインタビューに応じた。加藤さんは、任命拒否した理由を説明しようとせず、批判されても見直しに応じない現政権の姿勢を批判した。 日本学術会議は理学・工学や人文・社会など幅広い科学者が集う組織で、政府に政策提言する役割を担ってきた。菅首相は2020年秋、会議が新会員候補として推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命する異例の決定をした。除外されたのは加藤さんのほか、宇野重規・東京大教授(政治思想史)、芦名定道・京都大教授(宗教学)、岡田正則・早稲田大教授(行政法学)、小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)、松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)。 問題は国会などで大きく取り上げられたが、菅首相は任命拒否の理由について「人事に関することで、お答えは差し控える」などとして具体的に説明していない。6人は拒否の理由や経緯が記録された文書の開示を政府に請求したが、政府は6月、不開示とする決定を通知した。 加藤さんは自身が任命拒否された理由について今回、「私が国民の前で(行政の問題点を)説明できる人間だったことが、不都合だったのではないか」と推測した。 除外されたのは、なぜ「6人」だったのか。この人数について加藤さんは、政権側の「シグナル」である可能性を指摘している。(編集委員・塩倉裕) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル