喪失感に押しつぶされそうな3年だった。犠牲者の名が一人ずつ読み上げられる間、目を閉じた。岡山県倉敷市真備町で6日にあった西日本豪雨3年の追悼式。同市の三宅常男さん(62)は妻(65)と参列した。 次女の遥さん(当時27)、孫の愛さん(同5)を失った。 3年前の7月6日夕。2人が住む平屋建ての借家を、いつものように仕事帰りに訪ねた。20分ほどの滞在。帰宅しようとする三宅さんを、2人は「じいちゃん、またな」と見送った。外は雨が降り続いていた。 遥さんには軽度の知的障害があり、地元の社会福祉法人などからサポートを受けて子育てをしていた。6日夜に電話で話した支援者によると、遥さんは、音に敏感な愛さんが雨を怖がって寝付かないと訴えた。小学校への避難を促すと、「場所が分からない」と途方に暮れていたという。 「怖い」「助けて」送られたメール 翌7日朝には、庭一面が浸水… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:534文字/全文:922文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仏教界根深いジェンダーギャップ 女性僧侶が法要行うと
ジェンダー(性差)の格差がとりわけ大きいと指摘される日本の宗教界で、実際にどのようなジェンダーギャップがあるのかを探る研究会があった。伝統仏教教団の事例から浮かび上がったのは、女性僧侶や、寺院に居住する男性住職の配偶者や家族らの「寺族」が置かれた不安定な立場だった。 研究会は「宗派運営におけるジェンダー格差―改善への道を模索する―」と題され、龍谷大学(京都市)の「ジェンダーと宗教研究センター」の主催で6月9日に、オンライン上で開かれた。 住職の死後 追い出される「寺族」も 「女性と仏教・関東ネットワーク」の世話人を務める瀬野美佐さんが「曹洞宗教団のジェンダー」をテーマに発表。男女同権がいわれた戦後でも、男性僧侶が住職をする大きな寺の下請けのような小さな寺の住職しか尼僧ができなかった状況などが経済格差や差別を生んだと指摘した。 また、年間収入が300万円… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:805文字/全文:1191文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
砲台、地下壕…九州に眠る「戦争遺跡」訪ね歩いて30年
砲台や飛行場の跡など、九州各地には戦争にまつわる遺構がいまも残る。福岡市南区の江浜明徳さん(70)は、そうした「戦争遺跡」を30年にわたって訪ね歩き、300カ所以上を記録してきた。「『見ることができる遺構』を多くの人に知ってもらいたい」と、語り継ぐ活動を続ける。 6月19日、福岡市博多区の冷泉公園。江浜さんは拡声機を持ち、約20人を前に語り始めた。 「ここはもともと有数の繁華街でした。全部焼けて空き地になり、公園になった。広島の平和記念公園と同じです」 第2次世界大戦末期の76年前のこの日、福岡は米軍による爆撃にさらされ、1千人以上が犠牲になった。江浜さんが案内したのは、この「福岡大空襲」の日に合わせて戦争の遺構や遺物を訪ねるツアー。密集する家屋を撤去して道幅を広げた「疎開道路」や、戦後に多くの軍人や海外居住者が引き揚げてきた博多港、老舗額縁店に残る防空壕(ごう)など12カ所を2時間半かけて巡った。 福岡市で学校司書をする小川真由美さん(40)は「生まれ育った街にこれだけの遺構があると知り、歴史の一つではなく、より身近に、生活の中にあると感じられた」。 まだ身近だった戦争の記憶 江浜さんは福岡県久留米市出身で、高校教師として地理を教えていた。労働組合で平和教育を担当したこともあって、40歳くらいから戦争遺跡を訪ね始めた。教員らをかつての軍の港や演習場などに案内したり、文書や写真を小冊子やプリントにして生徒の学習教材に使ったり。組合の機関紙にも10年ほど連載した。退職後は退職金をつぎ込み、南九州や離島にも足を延ばしてきた。 郷土資料や戦前の地図から情報を集め、手のひらにおさまるノートとカメラを持って現地へ。関係者たちからも話を聞いた。メモをとられるのを嫌がる戦争体験者もいるため、話を聞いた時は、家に帰ってからノートに書き留めた。 子どものころ、戦争はまだ身… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:903文字/全文:1702文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
盛り土の工法「不適切」 静岡県、過去に業者へ是正指導
2021年7月7日 13時25分 静岡県熱海市で起きた大規模な土石流で、県の難波喬司副知事は7日、県庁で記者会見を開き、最上流部の盛り土の工法が不適切だったという認識を示した。盛り土を含む一体の開発で、県と市が業者に是正指導をしていたことも明らかにした。 難波氏は崩落地点に地下水脈があったことが確認できると指摘。「こういった谷を盛り土する場合、排水するのが基本だ。ただ最近の写真を見ると、排水装置や、本来はあるべき土砂を止める土留め壁などもないように見える」と述べた。 県によると、崩落した土地の最上位部分には開発に伴う盛り土があった。2010年以降の国土交通省のデータなどから、盛り土は約5万4千立方メートルあったと推定され、この盛り土を含めた10万立方メートルが崩落した可能性があるとしている。 一方、崩落地点近くにある太陽光パネルの開発について、難波氏は「(土石流の)主要な原因になっていないと思われる。影響は極めて小さいだろう」と述べた。 県は盛り土が崩れて土石流が大規模化したとみていて、県は盛り土と土石流の関連など原因究明を進める方針だ。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「感染拡大の兆候明らか」大阪府、重点措置の延長要請へ
11日に期限を迎える新型コロナウイルスに対応する「まん延防止等重点措置」について、大阪府は7日、対策本部会議を開き、政府に延長を要請することを決めた。延長か解除かは最終的に政府が決定する。 吉村洋文知事は会議の冒頭、「感染再拡大の兆候が明らかにみられる。人出も増えている状況で、感染者が増えるのはほぼ間違いない。7月末に高齢者のワクチン接種が完了するまで努力することが必要だ。重点措置を延長すべきだ」と話した。 大阪府では、直近1週間の新規感染者数は10万人あたり、8・95人(6日公表時点)で、政府の分科会が「感染急増段階」として定めるステージ3(15人)の数値を下回っている。 病床の逼迫(ひっぱく)度も改善されているが、吉村洋文知事は緊急事態宣言解除後の人出の増加や変異株の存在を指摘。「リバウンド(感染再拡大)する要素や条件は整っている」と警戒感を示している。 大阪府では、10町村を除く33市の飲食店に対し、午後8時までの営業時間の短縮や、酒類提供を午後7時までとした上で1グループ2人以内に限定する対策を要請している。吉村知事は重点措置が延長された場合、対象地域は引き続き33市とする考えを示している。(久保田侑暉、寺尾佳恵) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地球1周分、8の字に周回 ハリオアマツバメ渡りルート
季節により北海道やオーストラリアなどを周回する渡り鳥「ハリオアマツバメ」の渡りルートを、酪農学園大学(北海道江別市)などの研究チームが突き止めた。繁殖地の一つ北海道十勝地方で、ハリオアマツバメに小型移動記録機器を取り付けることに成功。東アジア、東南アジア、オセアニアを「8」の字を描くように、地球1周分の長い旅をしていた。 ハリオアマツバメは全長約20センチ、羽を広げた幅が約40センチ。分類学上、ツバメ(スズメ目)とはまったく別のアマツバメ目に属する。水平飛行時の速さは、鳥類トップクラスの時速170キロにも達するといわれる。日中に活動しているときは常に空を飛び続ける。夏は本州の中部地方以北に生息し、樹洞(じゅどう)に巣をつくって繁殖する。こうした生態により、観測例が極端に少なく、渡りルートは謎に包まれていた。 酪農学園大の森さやか准教授(鳥類生態学)と、長崎大、慶応大などによる研究チームは、2015年からハリオアマツバメの研究を始めた。18年、十勝地方の生息地に設置した巣箱に巣をつくった4羽に、0・7グラムほどの移動記録装置を取り付けた。翌年に再び戻ってきた4羽から記録装置の回収することに成功した。 それによると、秋の渡りは、8~9月ごろ北海道から南下し、10月ごろ九州から朝鮮半島へ渡る。さらに中国へ向かい、フィリピン、ニューギニアを経て、11月にはオーストラリア東海岸に到着する。12~3月をそこで過ごす。 春の渡りは、4月ごろからオーストラリアを北西に移動しながら、インドネシア、ベトナム付近を経て、5月ごろ台湾から日本へ渡ってくることがわかった。総移動距離は地球1周に当たる約4万キロに及ぶ。 森准教授によると、渡り鳥の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:344文字/全文:1071文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
お肉の下のトレーは消える? 「いいね」までの長い戦い
暮らしとSDGs ノントレーから考える① スーパーのお肉売り場で、食品トレーの代わりにプラスチックフィルムの袋に商品がそのまま入れられた「ノントレー」商品を目にすること、ありませんか?「環境配慮」を掲げるところもあります。この流れはいつごろから始まり、どのくらい普及しているのでしょうか。 プラスチック製品の削減やリサイクルを促す「プラスチック資源循環促進法」が成立し、プラスチックごみ削減に関心が集まっています。私たちにとってとっても身近な食品トレーから、この問題を考えてみます。 ノントレーの写真、1万リツイート 「トレーを廃するの良いね。これで問題ないならこの方向で行って欲しい」 ノントレーの鶏肉がずらりと並んだスーパーの商品棚の写真とともに投稿されたツイートが4月中旬、注目を集めた。 リツイートは1万件以上、「いいね」は4万件以上。「ゴミが少なくなって助かる」「脱廃プラも地味に効果ありそう」「環境に良いし、消費者も処理が楽」「できることからSDGs」などの反響があった。 話題になったツイート この写真は、関東地方で120店舗を展開するスーパー「サミット」の売り場。精肉部マネジャー・草木迫伸彦さんによると、「ノントレー」の商品は最近始めたわけではなく、十数年前から販売しているという。 注目されたことについては、「正直『いまさら?』と思うところはありますが、話題になることは素直にうれしいです。今年に入って導入する店舗が一気に増え、お客さんが目にする機会が増えたのも話題になった要因と思いますが、続けてきてよかったなと思います」 きっかけは自治体のある動き ノントレーを始めたきっかけは、消費者からの要望だった。 身近なSDGsを考える連載。今回は食品トレーをなくすノントレーをめぐる動きを4回シリーズで取り上げます。スーパー「サミット」がノントレーを導入しようとすると、ある壁にぶつかりました。 当時、三鷹市などゴミ袋の有… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
島根・鳥取で避難指示30万人 観測史上最多の猛烈な雨
2021年7月7日 10時17分 梅雨前線の活動が活発化している影響で7日早朝、島根県と鳥取県を中心に「線状降水帯」による1時間雨量80ミリ以上の猛烈な雨が降った。7日午前7時までに松江市と島根県出雲市、安来市では観測史上最多の3時間降水量も記録した。 気象庁は7日早朝から、島根県東部、鳥取県中部と西部に、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして、「顕著な大雨に関する情報」も発表した。 松江市付近では7日午前5時40分までの1時間に約100ミリの大雨が降ったとみられ、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表した。松江地方気象台によると、出雲市の斐川で7日午前4時45分までの1時間で観測史上最大となる75ミリの激しい雨を観測。松江市では7日午前7時50分までの24時間で115・5ミリの雨を観測した。松江市は午前6時50分、意宇川の氾濫(はんらん)の恐れがあるとして、避難情報のうち最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を八雲町日吉の757世帯1824人に出した。 島根県によると、午前8時現在で松江市、出雲市、安来市、雲南市の4市の計約13万世帯、約30万人に避難指示が出された。鳥取県でも、午前9時現在で江府町、三朝町の2町の計約1300世帯、約3400人に避難指示が出された。 交通機関にも影響が出た。JR西日本米子支社によると、山陰線の米子(鳥取県米子市)―益田(島根県益田市)間、伯備線の米子―上石見(鳥取県日南町)間、木次線の宍道(松江市)―備後落合(広島県庄原市)間で始発から運転を見合わせている。 一畑電車は全線での雨量が運転規制値に達し、大寺(出雲市東林木町)―美談(みだみ)(同市美談町)間の河川の氾濫(はんらん)で線路が冠水したため、全線で始発から運転を見合わせている。 梅雨前線はこの後も日本付近に停滞する見込みで、日本海側では少なくとも8日までは、「滝のように降る」とされる1時間50ミリ以上の非常に激しい雨が降って、大雨となるところがある見込み。 8日午前6時までの24時間雨量の予想は多いところで、山陰と長崎県150ミリ▽山口県120ミリ▽山陽と近畿北部・中部、福井県100ミリ▽石川県90ミリなど。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHK経営委「番組干渉」疑いの会議 議事録開示を決定
NHK経営委員会が2018年、当時の会長を厳重注意した会議の議事録について、経営委は6日、開示することを決めた。近く情報公開請求者に通知する。この会議では経営委員が、放送法で禁じられた番組への干渉をした疑いがもたれており、注意に至る議論の是非が問われることになる。 森下俊三委員長はこの日の経営委後、取材に対して開示の有無を明らかにしなかったが、NHK関係者によると、この日の経営委で開示を決めた。NHKの情報公開の仕組みに基づき、議事録の公開を求めている請求者に開示することになる。 この議事録は18年、かんぽ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:333文字/全文:592文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
検察内でも「不公平」の声 現金受領の100人不起訴
有料会員記事 三浦淳、川嶋かえ 能登智彦、東郷隆、新屋絵理2021年7月7日 7時00分 元法相の河井克行被告と妻案里氏の起訴から1年。刑事処分を当時見送った被買収側100人について、市民団体の告発を受けた検察が全員を不起訴とした。会見ではその理由を「事件の特殊性」と強調したが、検察内部からは「処分基準が揺らぐ」と疑問の声もあがる。 不起訴と起訴の基準「選別が困難だった」 「大規模な選挙買収の刑事責任を負うべきは河井克行氏であり、案里氏だ」 東京地検の山元裕史・次席検事は6日の臨時会見でこう述べ、処罰対象は被買収側ではないと強調した。 不起訴の理由については①被買収側の地元議員らがさらに買収する典型的な組織的買収ではない②(被買収側の)人選や金額は克行氏が決めた③地元議員らは金銭を求めておらず、やむを得ず受け取った――と列挙した。そのうえで「一部を起訴、一部を不起訴と一定の基準で選別するのが困難だった」と説明した。 過去には……現金5千円受け取って起訴されたケースも だが、買収と被買収は表裏一体の関係で、過去には被買収側の多くが処分されてきた。19年の青森県議選では現金5万円を受け取った元町議8人が略式起訴され30万~40万円の罰金刑を受けた。07年の岐阜県内の町長選では5千円を受け取った運動員49人に罰金10万円の略式命令が出ている。 中堅検事は「検察の処分基準が揺らぎ、過去との均衡がとれず不公平感がぬぐえない」と打ち明ける。別のベテラン検事も「克行氏を立件するため、被買収側を不起訴にして有利な供述を引き出す取引をしたのではないかと怪しまれる」と危惧する。検事出身の弁護士は、不起訴処分で買収金を国庫に返還させる没収や追徴の規定が適用されず「公職選挙法が無視された」と批判した。 異例の処分「今後の捜査に影響も」 当時首長や議員だった40人中、32人が今も現職のままだ。公選法では罰金刑以上が確定した議員は公民権が停止して失職するが、不起訴で失職を免れた形だ。 元東京地検特捜部長の熊崎勝彦弁護士は「選挙の公正さを保つため買収と被買収の双方が厳しく捜査・処罰されるのが通例で、今回は異例と言わざるをえない。今後の捜査や処分に影響を与える可能性は否定できない」と指摘した。(三浦淳、川嶋かえ) 不起訴の張本人「もらい事故」 「不起訴という判断を受け… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1412文字/全文:2366文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル