会員記事 伊藤和行、編集委員・宮坂麻子 聞き手 同・増谷文生2021年5月27日 19時10分 文部科学省が2024年度の本格導入をめざすデジタル教科書について、萩生田光一文科相が26日、朝日新聞のインタビューに応じ、「紙とデジタルをしばらくは併用するのが望ましい」と述べた。24年度に全面移行する考えはないことも明らかにした。 デジタル教科書は、紙と同じ内容をデータ化しパソコンやタブレット端末で利用する。法改正で19年度から使用が可能になり、今年度から、各教科の授業時数の2分の1未満と定めていた制限が撤廃された。文科省の有識者会議は3月、小学校の教科書が改訂される24年度からの本格導入を求める中間提言を出した。 萩生田氏はこれに対し「文科省が前のめりでデジタル教科書に全面移行するかのように思われてしまっているが、そうではない」と説明。「紙や活字文化は大事で、デジタル教科書に全くなじまない教科もある。24年度の全面移行を前提に議論しているわけではない」と述べた。今年度、全国の小中学校で行う実証研究の結果などをふまえ、紙との関係や利用する教科などを検討するという。 デジタル教科書は、コロナ禍に伴い全ての小中学生に1人1台の端末が整備される「GIGA(ギガ)スクール構想」が前倒しされ、菅政権のデジタル化推進も相まって検討が早まった。萩生田氏は「デジタル教材との連携で学びの幅を広げたり深めたりできる」とメリットを挙げる一方、視力や姿勢など健康面への影響に対する懸念をふまえ、「全面的にデジタル移行さえすればバラ色の学校現場が待っているかというとそうでもない。幅広く見ながら前に進みたい」とした。 一方、国費負担で無償化され… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:4221文字/全文:4895文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
図書館の貸し出し履歴、捜査機関に提供 16年間で急増
公共図書館が警察などの捜査機関に利用者の情報を提供していたケースが明らかになった。憲法が保障する「表現の自由」「内心の自由」を脅かす恐れがあるとして、日本図書館協会や専門家からは懸念の声があがる。 行政のデジタル化が進み、データ活用が進む中、図書館は利用者の情報とどう向き合うべきなのか。 北海道苫小牧(とまこまい)市の市立中央図書館。蔵書約19万冊を持ち、年に約30万人が利用する。そんな地域の拠点というべき図書館から、市民の情報がもれていた。 2017年、ある利用者が借りていた本の書名や予約状況を北海道警苫小牧署に提供していたのだ。 提供が発覚したのは18年10月の市議会で、担当者は「情報提供に違法性はない」と強調したが、批判が高まった。 任意捜査の「捜査関係事項照会」で というのは、道警の提供要請は、裁判官が出す「捜索差し押さえ令状」に基づくものではなく、任意捜査である「捜査関係事項照会」によるものだった。 この問題を受けて、札幌弁護士会は昨年、札幌市と周辺自治体にある公立図書館と大学図書館、計102館を対象にアンケートをした。 回答した43館のうち10館が令状なしの照会を受けており、うち苫小牧市立中央図書館を含む5館は捜査当局に情報を提供していた。 提供したのは、貸し出し履歴や登録情報、ある図書を借りた人の情報やコピーの申し込みの有無など、多岐にわたった。 札幌弁護士会は問題視し、令状なしの照会には応じないよう図書館に求めた。「利用者情報はプライバシーに関わる。収集するなら令状に基づくべきで、裁判所は厳格にチェックすべきだ」と斎藤耕弁護士はいう。 利用者の秘密の保持を図書館は重視してきた。 日本図書館協会は1979年、図書館の憲法ともいわれる「図書館の自由に関する宣言」を改定し、こう記した。「図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする」 図書館の「憲法」は秘密保持を明記 でも113館が…… だが、近年、令状なしの「照会」を受けて情報提供する事例は少なくない。 日本図書館協会による2011年の全国調査では、192館が捜査機関から照会を受け、その6割にあたる113館が貸し出し履歴などを提供したと回答した。 1995年の調査では、情報提供を認めた図書館が照会を受けた館の1割程度にとどまっていた。16年間で、提供に応じる割合が高まったことになる。 図書館のパソコンで企業を脅迫したケースも なぜ、警察は令状なしの照会という手法をとるのか。 ある捜査関係者は「令状は手… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
PC1人1台で学力低下? 「最低レベル」日本を救う道
拡大するICT教育のあり方について話す佐藤学さん=東京都豊島区 この春、全国のほとんどの小中学校に「1人1台」分のデジタル端末が配られた。実は、日本の子どもが授業でコンピューターを使う時間は、先進国の中で最低レベルだ。一方で、学校での使用時間が長いほど、成績が下がるという報告もある。「ICT(情報通信技術)教育」は、本当にいいことなのか。「第四次産業革命と教育の未来」を出版した東大名誉教授の佐藤学さんに聞いた。 ――我が家の小学生の子どもにもiPadが配られましたが、学校での使い方を聞くと、鉛筆で書けばいいことをキーボードで入力したり、知育ゲームのようなアプリだったり。本当に必要なのかと思ってしまいます。 「実は、ICT教育によって学力が上がるという研究結果はほとんどありません。IT企業が宣伝用に使っている小規模な調査データはありますが、『未来の教育はICTだ』というイメージが先行しているのが現状です。一番信頼できるデータは、国際学習到達度調査(PISA)の調査委員会が2015年にまとめた報告書です」 読解力も数学の点数も下がっていた ――どんな内容ですか。 「学校でパソコンを全く使わないよりは、適度に使った生徒の方が成績はいいのですが、使う時間が長くなればなるほど読解力も数学の学力の点数も下がっています=グラフ。コンピューター上で答える形式のテストを受けていても、紙のテストを受けていても、同じ傾向です」 拡大する学校でコンピューターを使う時間が長すぎると、読解力は下がる ――なぜでしょう。 「PISAテストを中心的に担ってきたOECD(経済協力開発機構)のアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は、コンピューターは情報や知識の獲得や、浅い理解には有効だが、その知識や情報を活用する深い思考や探究的な学びにはつながらないと解釈しています」 ――一方で、2018年のPISAテストで日本の子どもの読解力の順位が8位から15位に落ちた際は、「デジタルの情報を読む力が不足しているからだ」と指摘されました。 「それは、根拠がない指摘だと思います」 ――では、日本の子どもの読解力が下がっているのですか。 「そもそも言語の異なる読解… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪「今の状況なら開催困難」 東京都医師会長が指摘
東京都医師会の尾崎治夫会長が27日、日本記者クラブでオンライン記者会見を開き、7月23日開幕の東京五輪・パラリンピックについて、「今の状況が続けば、開催は難しくなると思っている」と述べた。 尾崎氏は会見で「(新規感染者数を1日あたり)100人以下を目指す。そこまで頑張って緊急事態宣言を延ばすことが必要なのではないか。そこまで落とさないと、五輪が開催される7~8月に大きなリバウンドが起きる」と指摘した。 その上で「ある意味、最後のチャンス。更に人の流れや人と人の接触を抑えられれば、100人以下にするのは不可能ではない」と強調。今夏に五輪を開くのであれば、「無観客で開催していただくのが最低限の話ではないか」との見解を示した。 尾崎氏はまた、海外から入国予定のスポンサーやIOC関係者、海外メディア関係者の数も減らし、「スリムな形で開催」が望ましいと提案した。観戦方法については、「自宅でテレビで観戦してもらうよう呼びかければ、感染を抑えることにつながる」と話した。(池上桃子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
強盗殺人容疑で再逮捕へ、寺で殺害か 神戸トランク遺体
独自 2021年5月27日 12時00分 神戸市北区の畑で今月5日、横転した乗用車のトランクからコンビニ店長森下浩さん(62)=同区=の遺体が見つかった事件で、兵庫県警は、死体遺棄容疑で逮捕した同店員の男(27)について、森下さんへの強盗殺人容疑で逮捕状を取った。死体遺棄事件の勾留期限となる27日にも再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。 捜査1課によると、森下さんの車が道路脇の畑に転落しているのが5日に見つかり、県警が車のトランクから遺体を見つけた。司法解剖で死因は窒息死と判明した。県警は現場にいた男を6日に死体遺棄容疑で逮捕したが、刑事責任能力の有無を慎重に調べるとして実名を公表していない。 また事件直前、車が見つかった畑から数百メートル北にある寺の駐車場に、男と森下さんがいたとみられることも捜査関係者への取材で分かった。県警は、寺の敷地内で森下さんが殺害された可能性があるとみている。 男は逮捕前の任意の聴取に「もう1人関わっている」と説明したが、そうした人物は確認されていないという。 森下さんの遺族代理人の弁護士によると、男は事件の1週間ほど前にコンビニ店で働き始めたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「119倍返しだ!」、SNSに火を付けた消防士の演技
高橋昌宏2021年5月27日 13時00分 迫真の演技に、こだわりのカメラワーク……。仙台市消防局の音楽隊が制作した動画がSNSなどで話題を呼んでいる。「倍返しだ!」のセリフで知られるあの人気作品を下敷きに、第一線で働く消防士らが役者となって119番通報の要点を伝えている。 動画のタイトルは「連続消防ドラマ 万沢直樹」。消防局を舞台に、119番通報の要点をまとめたリーフレットの公表を邪魔された万沢は、なぜか「頭取」「幹事長」らと対決する。「やられたらやりかえす」「119番返しだ」で大団円を迎え、市消防音楽隊の演奏場面に切り替わる。 自治体による動画を使った広報は珍しくないが、素人ながら熱の入った約10分間の演技に、SNSでは「芸達者」など称賛の声が上がっている。 音楽隊は数年前から、住宅用火災警報器などの大切さを伝えるドラマ仕立ての動画を制作。定期演奏会の会場のスクリーンで上映しながら、関連の曲を演奏するのが人気となっていた。 今年3月にも演奏会が市内のホールで予定されていたが、新型コロナの影響で無観客に。演奏会の模様とともに動画をユーチューブで公開した。 なぜ動画に力を入れるのか。「防火・防災を市民により印象づけるには演奏以外にどんな手段があるか考えた」と話すのは音楽隊の佐々木健副隊長。その結果、人気作品をオマージュした啓発動画が浮かんだ。 脚本作りや撮影、そして編集まで動画の制作はすべて消防局員が担当。鵜沼清孝楽長は「普段、消防や指令業務などに当たっている。ドラマを何度も見て、似せていきました」。 もみあげに白い付け毛をして頭取に扮した佐々木副隊長は「ドラマのファンで何回も見ていたので、やるなら頭取かなと考えていた。表情を工夫するなど、みんな気合が入っていた」と振り返る。総勢30人ほどの音楽隊の演奏機会は、コロナ前は年30件前後あったが、昨年度は7件、今年4月以降はゼロ。こうした中で、動画の公開も貴重な広報の一つだ。「『半沢直樹』までやると次が難しいが、好評頂いているので今後も続けていきたい」 動画はユーチューブの「せんだいTube」チャンネル内(https://www.youtube.com/watch?v=bV3MYJlrLxc)で公開されている。(高橋昌宏) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
酒は、人の喜怒哀楽そのもの #コロナを生きる言葉集
酒は、人の喜怒哀楽そのもの(業務用酒販店社長) 東京都新宿区にある創業104年の業務用酒販店「佐々木酒店」。5月中旬、倉庫には、10リットルの生ビールのたる50本が山積みになっていた。社長の佐々木実社長(66)が、そのたるを数えながらため息をつく。 「酒類提供の飲食店への休業要請」を掲げる3度目の緊急事態宣言が、延長された。通常なら、倉庫には製造時期が1~2週間前のたるが並ぶが、1~2カ月前のものが出荷できずに滞留する状態が続いているからだ。 杯を交わしながら、楽しい気持ちやつらい思いを人と分かち合うことができる。だから居酒屋やバーカウンターには、客それぞれに物語がある――。そんな思いで仕事を続けてきた。それだけに「酒がなきゃぎくしゃくした世の中になる」と感じている。 出口の見えないコロナ禍。収束のため、誰かが身を削ることは必要だと理解はするが、酒自体が悪いわけではないのに、という思いは消えない。「早くまたおいしく酒が飲める世の中に戻ってほしいよ」(山口啓太) ◇ 誰もが経験したことのない日々が続いています。様々な立場、場面の言葉を集めます。明日に向かうための「#コロナを生きる言葉集」。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
トンネルで脱線、炎上したJR北の特急 あれから10年
JR北海道の石勝線特急脱線炎上事故から27日で10年となる。事故をきっかけに、JR北では効率重視で安全をおろそかにした弊害が噴出。その後安全最優先を掲げ、経営を一歩一歩改善してきた。国や道の支援も受け、2030年度の北海道新幹線札幌延伸後の経営自立を目指すが、今は新型コロナウイルスによる旅客減が立ちはだかっている。 石勝線事故は、車両の車輪の劣化がそもそもの原因だった。JR北ではこの事故後、13年に函館線大沼駅での貨物列車脱線事故、レール検査データ改ざんなど重大事故や不祥事が相次ぎ、その信頼は大きく揺らいだ。 JR北は国からの度重なる命令を受け、経営陣の一新、社員教育の徹底など「会社の膿(うみ)を出し切るための改革」(同社幹部)に着手。年300億円台の修繕費と200億~300億円台の安全投資を予算に計上してきた。 だが現在、コロナ禍がその経営を直撃している。4月末に発表した21年3月期の営業赤字は過去最悪の805億円。不採算路線の見直しやいっそうのコスト削減が避けられない。JR北の島田修社長は石勝線事故を振り返り、「経営は厳しい状況にあるが、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも安全最優先の方針は変えない。安全重視の企業風土づくりに取り組んでいく」と話す。(斎藤徹) あのとき、車内で何が起きたのか 喜多龍一道議(十勝地域選出)は、10年前の石勝線事故に偶然居合わせた。あの時、車内で何が起こっていたのか、改めて振り返ってもらった。 ◇ 10年前の2011年5月27日午後9時過ぎ、後援会会合後、新得駅から釧路発札幌行き「おおぞら14号」に乗った。席は最後尾1号車右側の真ん中付近。座席の多くは埋まっていた。 40分ほど経った時、「ガガ… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1723文字/全文:2461文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「裁判で訴える」パワハラ報道の大和市長、会見打ち切り
上嶋紀雄2021年5月27日 9時11分 【神奈川】大和市副市長を任期途中で辞職した金子勝氏(64)が、大木哲市長(72)による職員へのパワーハラスメントを指摘した問題で、大木市長は26日の会見でパワハラを改めて否定し、金子氏に対し「名誉回復のために裁判で訴えていく」と語って一方的に会見を打ち切った。報道陣が抗議し約40分後に再開したが、裁判への対応や議会の調査について具体的に答えなかった。 大木市長は会見で、「虚偽の情報をマスコミに流した前副市長の責任を問う」「裁判が始まるので提訴の時期など現時点ではこれ以上話すことはない」などと発言。その後の報道陣の質問には「先ほどお答えした通り」と繰り返し、司会の職員が数分で質疑を打ち切り、大木市長は退席した。 再開後は1人1問と質問を制限。「(報道が)フェアではない」と言い、「裁判の場ではっきりさせたい」と繰り返した。市議会が設置方針の調査特別委員会への協力については「裁判があるので現時点ではお答えできない」。提訴時期を「近々」と口にし、裁判費用に「税金を使うとは言っていない」と答えた。1回目の会見を途中で打ち切った理由については「司会者が判断したんだと思う」と語った。(上嶋紀雄) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「放牧した牛、元気が違う」 黒毛和牛のびのび中 宮城
澤田歩2021年5月27日 9時57分 宮城県栗原市栗駒文字の市営深山牧場で25日、牛の放牧が始まった。市の農林畜産課によると、今年は28戸の農家から繁殖用の黒毛和牛109頭の申し込みがあった。初日は40頭が放たれ、さっそく広い牧野で草をはんでいた。 放牧するのは、3~13歳ぐらいの雌牛。市内外から運ばれた牛は、一頭ごとに体重をはかる。500キロ前後が多いが、中には620キロを超えたものも。177ヘクタールの牧野で自然の牧草を食べ、のびのび11月ごろまで過ごせば、身は引き締まって100キロ近くも増え、受胎率も上がるという。 今年は4頭を預ける予定で、そのうちの1頭を連れてきた市内の菅原照明さん(65)は「毎年預けているが、放牧した牛は元気が違う。足腰丈夫に育って、良い子を産んでほしい。今年は暖かく、牧草の伸びもよいようだから期待していますよ」と話していた。(澤田歩) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル