旧優生保護法の下で不妊手術を強いられた原告らの訴えは、時の経過を理由に退けられた。3日の神戸地裁判決は、旧法が違憲だと認め、改正せず放置してきた国会議員の責任にも触れる一方、国の賠償は認めなかった。原告からは怒りの声が上がった。(米田優人、井岡諒、岩本修弥) 特定の障害や疾患のある人を「不良」とみなし、子どもを産み育てるかの意思決定の機会を奪う。そんな旧法の優生条項について、判決は「憲法の理念に明らかに反する」と断じた。 小池明善裁判長は、旧法を議員立法で成立させた国会議員の責任について「条項を速やかに改廃すべきだったのに、1996年の改正まで、長期間にわたってしなかった」と指摘。旧法をめぐる訴訟で、条項を放置してきた国会議員の「立法不作為」を違法とし、国家賠償責任を初めて認めた。旧法を「違憲」とした仙台、大阪、札幌(2021年1月)の3地裁の判決より踏み込み、不妊手術を受けた本人に加え、子をもうける可能性が奪われた配偶者にも著しい精神的苦痛を与えたとも認めた。 だが、これまでの多くの判決と同様、不法行為から20年たつと損害賠償を求める権利が消える除斥期間を適用。「旧法が改正された96年の時点で不妊手術が不法行為だったことが認識できた。原告が提訴した2018、19年には除斥期間が過ぎていた」として訴えを退けた。 旧法の下で不妊手術を受けた被害者の救済を巡っては、18年に宮城県の知的障害がある女性が仙台地裁に提訴したのをきっかけに、法整備の議論が活発化した。国は19年4月に成立した一時金支給法に基づき、被害者に一律320万円を支給しているが「被害者の苦しみに対して金額が低すぎる」「救済の仕組みが十分に周知されていない」との批判は根強い。 小池裁判長は判決の最後に「付言」として「条項が半世紀存続し、個人の尊厳が著しく侵害された事実を重く受け止めるべきだ」と指摘した。司法からのメッセージは、一時金支給法のあり方に影響する可能性がある。 弁護団「国会の責任果たして」 「国会の責任を果たして欲しい」 判決後、神戸市内で会見した原告側の弁護団は、優生条項を放置した国会議員の立法不作為を「違法」とした判決を評価した。しかし、20年の除斥期間を理由に請求そのものは退けられ、悔しさをにじませた。 原告で聴覚障害者の小林宝二さん(89)=兵庫県明石市=は会見で両手を激しく動かし、手話を使って憤りを表現した。 「怒りを抑えることができない。これは差別だ」 妻の喜美子さん(88)と1… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
酒気帯び、無免許 電動キックボード運転した疑いで逮捕
板倉大地2021年8月3日 22時06分 無免許で電動キックボードを飲酒運転したとして、福岡県警は3日、住居不定、自称自営業の遠藤真澄容疑者(24)を道路交通法違反(無免許、酒気帯び運転)容疑で逮捕し、発表した。「酒は飲んだが免許がいるとは知らなかった」と容疑をおおむね認めている。 中央署によると、遠藤容疑者は7月25日午前4時20分ごろ、福岡市中央区舞鶴1丁目の市道で、運転免許を持たないまま、酒気を帯びた状態で電動キックボードを運転した疑いがある。 電動キックボードは知人から借りたもので、パトロール中の警察官が職務質問して発覚したという。 県警交通指導課によると、現場は4月から電動キックボードの実証実験が行われている区域で、ヘルメットの有無にかかわらず、普通免許や二輪免許などで運転できる。県内では5月以降に免許不携帯など電動キックボードが絡む検挙が18件あり、逮捕は今回が初めてという。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国交省出先機関でクラスター 7月末に職場7人で懇親会
国土交通省九州地方整備局は3日、福岡市の博多港湾・空港整備事務所で、三つの課にまたがり職員15人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。このうち7人が、7月28日夜に市内の居酒屋で飲食を伴う懇親会を開いていたという。 同局によると、29日に60代の男性職員の感染が判明。同じフロアに勤務する職員をPCR検査したところ、3日までに職員18人のうち、20~60代の男女計15人の陽性が確認された。市はクラスター(感染者集団)と認定した。 その後、同局の聞き取り調査で、28日に居酒屋で午後6時半から午後9時半まで懇親会が開かれ、参加した7人全員が感染したことが判明。副所長や課長も含まれる。永年勤続表彰のお祝い名目だったという。 当時、福岡県内では飲食店への営業時間短縮といった自粛要請などは出ていなかったが、新規感染者が再び増え始めた時期にあたる。国交省の通知を受け、同局は管内の出先機関に職場内で懇親会をしないよう通達していた。 同局は3日、「極めて遺憾であり、重く受け止めている。地域の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」とのコメントを出した。 クラスターが発生したフロアでは公共事業の発注業務などをしており、現在は事務所内の別の課の職員が対応しているという。(藤原慎一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪国税局長「税務手続きデジタル化進める」 着任会見
徳永猛城2021年8月3日 20時57分 大阪国税局長に7月12日付で着任した吉井浩氏(55)が3日、会見し「納税者の税務行政への理解と信頼が何より大事。時代のニーズに応じたサービスの充実に努める」と抱負を語った。税務手続きのデジタル化を進めるという。吉井氏は、国際的な取引や消費税の不正還付をめぐる税務調査に重点的に取り組むとし「厳正に対応しなければならない」と述べた。 大阪国税局長に就任し、会見する吉井浩氏=2021年8月3日、大阪市中央区 近畿2府4県を管轄する大阪国税局のトップとして、組織内外で「丁寧に対話をすること」が重要だと語った。 吉井氏は東京都出身。名古屋国税局長や復興庁参事官などを歴任した。趣味は歴史名所を巡る町歩きで、関西の印象について「日本の中心として文化・芸能を培っていて興味深い」と話した。(徳永猛城) 大阪国税局の吉井浩局長=2021年8月3日、大阪市中央区 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自民党滋賀県連事務局長を強制性交容疑で逮捕 京都府警
2021年8月3日 20時58分 京都府警は3日、自民党滋賀県連事務局長の小島雄一郎容疑者(43)=滋賀県栗東市=を強制性交等や窃盗の疑いで逮捕し、発表した。「合意の上の出来事だと思っている」と供述しているという。 伏見署によると、逮捕容疑は2月3日夜、京都市伏見区の飲食店駐車場で当時高校生だった女性(19)を車に連れ込み、滋賀県草津市で性的暴行を加えたというもの。車内で女性の財布から現金約2万5千円を奪った疑いもある。 県連の川島隆二幹事長は取材に対し「事実なら、相手に対して申し訳ない、では済まない。本人から話を聞いたうえで、厳正に対応する」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
埼玉で過去最多、1053人の感染発表 新型コロナ
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選手村で飲酒騒ぎ 組織委が複数のオリンピック委に注意
2021年8月3日 17時48分 東京オリンピック(五輪)の選手村内の公共スペースで、選手らが夜間に飲酒するなどして騒いでいたとして、大会組織委員会は3日、参加していた7~8の国や地域のオリンピック委員会(NOC)に注意したと明らかにした。組織委の広報担当者は「目に余る状況だったのでNOCを特定し、注意した」と説明した。行動ルール(プレーブック)は、酒類の部屋への持ち込みは認めているが、自室で1人で飲むことを求め、共有スペースで複数で集まって飲酒するのは禁止している。 組織委によると、騒ぎは7月30日夜から31日未明にかけて起きた。主導していた一つのNOCは組織委に謝罪文を提出し、競技を終えていた選手全員を速やかに本国に送り返したという。組織委は「この件以外では、(注意するような)事案は確認されていない」と説明している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
4件不起訴の弘道会ナンバー3 逮捕重ねた警察の狙い
指定暴力団山口組弘道会でナンバー3の立場の組長が、昨春以降、4回愛知県警に逮捕され、いずれも不起訴処分となった。 資金源とみられている風俗店の営業実態や資金の流れがつかめたとして、手応えを口にする捜査関係者がいる一方で、「捜査の手の内をさらした」と懸念の声も上がる。県警は今後も店舗への行政処分なども含め、資金源を断つ対策を進める方針。 弘道会は名古屋の歓楽街「錦三」地区の風俗店などから収益を上げているとされる。 県警は昨年3月、弘道会傘下組織の松山猛善組長(66)を風営適正化法違反(無許可営業)容疑で2度逮捕し、同4月には県暴力団排除条例違反容疑でも再逮捕。今年6月には錦三のセクシーキャバクラから、収益の一部約26万円を受け取ったとして、組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕した。 6月の事件のセクシーキャバクラは客席をカーテンで狭く区切っており、風営法はこの構造での接待を認めていない。 県警は昨年3~4月の事件の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:702文字/全文:1116文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手術せず「俺」になりたい 男性への性別変更申し立てへ
阿久沢悦子2021年8月3日 15時00分 「オペなしで、戸籍上も『俺』になりたい」 浜松市の竹かばん職人、鈴木げんさん(46)が7月、浜松市内で記者会見を開き、こう訴えた。鈴木さんはトランスジェンダー当事者。性同一性障害特例法では戸籍の性別変更にあたり、「生殖腺がないこと」などが要件となっている。鈴木さんはこの要件を不要と考え、今秋にも静岡家裁浜松支部に手術を受けずに性別変更を申し立てる。 鈴木さんは女性の体を持って生まれた。「子どもの頃から女性として扱われることに違和感があった」。トランスジェンダーの仲間と出会い、40歳で性同一性障害の診断を受け、治療を始めた。男性ホルモンの注射を受け、乳腺を摘出。外見も社会生活上も「男性」になった。 でも戸籍上は「女性」のまま。このままでは女性パートナーと婚姻届が出せない。投票所など、公的な場で女性として見られることも苦痛だ。「自分のものではない『女』という記号におびえたくない」。身体的、経済的に負担が大きな生殖腺の手術は望まなかった。「内臓に卵巣があっても、俺は俺だ」 会見には鈴木さんを支援する弁護士らも同席した。同様の申し立てをめぐり、2019年1月、最高裁は性別変更を却下した岡山家裁の判断を「合憲」としたが、同席した水谷陽子弁護士は「ここ数年で、社会状況が大きく変わりつつある」。手術要件について、「自己の性自認を尊重される」「意思に反する身体への侵襲を受けない自由」「家族形成に関する自己決定」などの人権を損ない、法の下の平等に反すると主張する。 特例法の施行から17年。家事審判統計ではこの間に、1万555人が性別変更を申し立て、1万301人が認められた。 鈴木さんは「この法で多くの仲間が救われた。でも、今後は厳しい要件を課すのではなく、自分の生きる性別は自分で決められるというシンプルなルールになっていくといい」と語った。公共訴訟支援プラットフォーム「CALL4」内に特設ページを作り、当事者の声を掲載。クラウドファンディングによる寄付を呼びかける。(阿久沢悦子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
8000ページ官報にのけぞる 紙の「鈍器」の中身とは
各地の役所や企業などに7月、計8千ページの文書が届けられた。法律や政令などを国民に知らせる「官報」で、過去最大のページ数だった。積み上げると約30センチの高さになるという。いったい何が載ったのか。 「なんか、125冊8千ページの官報が来るらしい」。7月9日、ツイッターでそんな投稿がされた。「立派な鈍器が送られてくるらしい」「乱丁落丁のチェックするだけで、凄(すご)い時間浪費しそう」「官報射撃」などと反応が続いた。 官報は、法律や政令、省令や規則のほか、政府の競争入札の告知などを載せる「国のお知らせ」だ。 土日祝日などを除いて毎日、紙で発行され、役所や図書館、銀行や企業、病院などが定期購読をしている。インターネットでも公開される。 事前にお知らせ「ご迷惑をお掛けします」 発行する国立印刷局によると、毎日出る「本紙」は32ページと決まっている。 そこに収まらない分は「号外」を発行しており、今回の号外は過去最大のページ数になった。 定期購読者には、数日に分けて届けることを事前に伝えた。「大変ご迷惑をお掛けしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします」などと書き添えた。 謎の単語 「七面鳥」「あひる」 職場に近い図書館で、今回の官報を手にとってみた。一部にあたる3200ページ分がひもでまとめられ、片手ではとても持てない。 本文の冒頭3ページの字面を追うだけで10分ほどかかった後に、長大な表がある。 そこにある単語はたとえば「七面鳥」「あひる」「がちょう」、「ニッケル・水素蓄電池」「リチウム・イオン蓄電池」。その後、英語で書かれた表が延々と続く。 8千ページの正体は「地域的… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:737文字/全文:1444文字 フカボリ 旬の話題の舞台裏から事件の真相まで、気になるニュースの深層に迫ります。世の中に流れる情報の一歩先へ。「もっと知りたい」「ちょっと気になる」に応えます。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル