社会

名古屋城復元めぐり障害者への差別的発言相次ぐ 市主催の討論会

 名古屋市が復元をめざす名古屋城木造天守のバリアフリー化をめぐり、市が主催した3日の市民討論会の中で、エレベーター(EV)の設置を求める意見を述べた身体障害がある男性に対し、他の参加者から差別発言があった。 市民討論会は名古屋市中区内で開かれ、市側が住民基本台帳から無作為に選んだ18歳以上の参加希望者が出席した。河村たかし市長も参加した。 現計画のバリアフリー化案では、地階から少なくとも1階まで車いすの人が利用できる小型の昇降機を設置するとしている。それより上層階の具体的な整備案は定まっていない。だが「史実に忠実な復元」をめざす河村市長は昨年12月、天守最上階まで昇降機を設置しないことを許容する発言をし、障害者団体が「障害者に対する人権侵害で到底承服できない」と抗議していた。 討論会では、車いすの男性(70)が天守最上階まで車いすも運べるEVが設置されなければ、「障害者が排除されているとしか思えない」と市側に訴えた。 その直後、EV不要の立場から2人の男性が発言した。最初の男性は車いすの男性に対し、「河村市長が作りたいというのはエレベーターも電気もない時代に作ったものを再構築するって話なんですよ。その時になぜバリアフリーの話がでるのかなっていうのは荒唐無稽で。どこまでずうずうしいのかっていう話で。我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ。エレベーターを付けるなら再構築する意味がない」などと話した。 次に発言した男性は「かたわで生まれるかもしれないけど、健常者で生まれるかもしれない。それが平等なんですよ。エレベーターは誰がメンテナンスするの。どの税金でメンテナンスするの。その税金はもったいないと思うけどね。毎月毎月メンテナンスしないといけない。本当の木造を作って」などと話した。 この2人の男性の発言の後には会場の一部からは拍手も起きた。 河村市長は報道陣から差別発言があったことへの見解を問われ、一部は「よう聞こえなかった」とした上で、「自由に言ってもらうのが前提で、広い気持ちで考えるのが普通ではないですか」と話した。一方、市の担当者は差別発言があったことを認めた上で、「個人の勢いで言われたことで、制止することはしなかった。今後の運営の課題としては受け止める」と話した。 車いすの男性は「頭が真っ白になるくらい傷ついた。市には発言を止めて欲しかった」と話した。(寺沢知海) 名古屋城天守木造化をめぐっ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

宗教2世の問題考えるシンポジウム 「苦しみに気づける社会に」

 親のカルト信仰や宗教活動を強制されて生きる「宗教2世」の問題を考えるためのシンポジウムが3日、東京都内であった。シンポジウムは、2世問題に取り組むために一般社団法人が設立されたことを記念して開かれ、2世らは「宗教による児童虐待をなくすために、その深刻さを知ってほしい」と訴えた。 シンポジウムには、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やエホバの証人の2世信者、カルト宗教の研究をする大学教授、被害者支援に取り組む弁護士らが登壇した。 エホバの証人の元2世信者の男性は、幼少期から信者以外との交流や恋愛を許されず、布教活動に励むことだけを求められてきたという。ムチで打たれた経験もあり、「家庭と宗教以外の居場所は存在しなかった。逃れるには死ぬしかないと思った」。 旧統一教会2世信者の男性は、小学校のころ早朝に教義を音読させられ、7日間の断食をしたこともあったといい、「自分が受けていることは虐待だと認知できていないからこそ、助けを求めることができなかった」と話した。 北海道大学の桜井義秀教授(…この記事は有料記事です。残り457文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「生のリンゴを与えること同意してない」 保育園の死亡事故で遺族

 鹿児島県姶良(あいら)市の私立認可保育園で4月、女児がのどに異物をつまらせて約1カ月後に亡くなった事故で、女児の保護者が3日、代理人の弁護士を通じた文書で、思いなどを初めて明かした。園が、保護者の同意なく生のすりおろしリンゴを与えていたとして、問題視している。 文書によると、入園前の3月、保護者は保育士との面談で離乳食について、自宅では果物は加熱してすりつぶすか、こして果汁を与えていると説明。園側は「自宅では加熱して与えていると思うので、園では生の果物はあげないようにします」と回答したという。 保護者は「リンゴを与えることについては同意していたものの、『生のリンゴをすりおろして与える』という与え方には同意していたわけではない」と主張。園との連絡帳に果物を与えたことが記載されていたが、保護者は「加熱してあげているのだろう」と考えていたという。生のリンゴを与えていたことは、報道で知ったという。 保護者は現在の心境について「娘は、私たちにとって待望の第1子でした。突然の事故で娘を失ってしまい、これから娘の成長を見ることができないと思うと、悔しくて悲しくてたまりません」と明かした。 姶良市は5日、事故検証委員…この記事は有料記事です。残り125文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

【写真まとめ】天皇陛下、皇后雅子さま、陸前高田「奇跡の一本松」へ

2023年6月3日 19時00分 植樹祭に出席するため、岩手県を訪問している天皇、皇后両陛下は3日、陸前高田市の「奇跡の一本松」を視察しました。一本松は東日本大震災の津波にも耐え、復興のシンボルになっています。 2011年3月11日、「国の名勝」にも指定されていた高田松原を津波が襲い、約7万本の松のうち、唯一生き残ったのがこの一本松でした。しかし海水で根が傷んだ一本松は衰弱。大震災から約9カ月後、保護に取り組んできた日本緑化センターが「蘇生は絶望的」としました。 その後、幹にカーボン製の心棒を通すなど、屋外展示に耐えうる保存処理を施され、2013年に復元されました。 岩手県訪問中の天皇、皇后両陛下を写真でお伝えします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

消防で「おかしい」と言えないのか 未接種者を隔離、元消防の記者は

 滋賀県甲賀(こうか)市の甲賀広域行政組合消防本部が2021年、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けなかった30代の職員について、ほかの職員から隔離された場所で仕事をさせ、文書に「ワクチン接種拒否者」と記して約200人の全職員に回覧していたことが明らかになった。 「それは、ひどい」 記者の旧知の現役消防職員たちは、今回の件を知って口をそろえた。未接種の職員を隔離するような対応は聞いたことがないという。 記者は2010年までの8年間、東京消防庁で勤務した。だから、消防の職場がどのような雰囲気かは知っている。一言で言えば階級社会だ。職員どうしの連帯感が強く、閉鎖的な一面もあると感じていた。「上意下達」の社会 重い消防トップの文書 「上意下達」は必要なことで…この記事は有料記事です。残り595文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

学校の農園守る 富山の小学生がニホンザルと知恵比べ「電気柵」で

 富山市の山間にある市立神通碧(じんづうみどり)小学校(同市楡原、児童数42人)の学校農園に、サル対策の電気柵が地域住民の協力で設置された。昨年に続き2年目だが、出没するニホンザルとの知恵比べになっているといい、より厳重な電気柵を児童も一緒になって造り上げた。 農園は学校敷地に隣接しており、周囲50メートルの畑。ぐるりと高さ約2メートルの柵を造った。太陽光発電で通電するネットを張り、高電圧の電流を流す。サルが柵を登ろうとすると、感電する仕組みだ。 骨組みを地元の細入地区自治…この記事は有料記事です。残り669文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ハンセン病学んだ職員、島比呂志さんを広報で特集 「これで故郷に」

 「没後20年 島比呂志」 香川県観音寺市が市民に配布する「広報かんおんじ」6月号に、そう題した8ページの特集が組まれた。 島は観音寺市で生まれた作家で、本名は岸上(きしうえ)薫。ハンセン病国家賠償訴訟の名誉原告団長を務め、2003年に84歳で亡くなった際は全国ニュースになった。だが、市ゆかりの人と知っている市民は多くない。 特集を発案し、取材、執筆したのは、市秘書課係長の安藤恵子さん(39)だ。 「島さんのことを市民に知っていただかないかん、と思いました。それが故郷に帰ってきて頂くことにもなる、と」 島は28歳でハンセン病の療養所に入り、特効薬が普及し「治る病」になっても強制隔離が続く不条理を文筆で訴え続けた。患者の隔離を定めた「らい予防法」が1996年に廃止された後、ほかの回復者らと訴訟を起こし、2001年に国の政策を初めて違憲と断じた熊本地裁判決を引き出した。 歴史を動かしたそんな人物が…この記事は有料記事です。残り1634文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東海道新幹線、東京―名古屋での運転を再開 のぞみ臨時10本運行

細沢礼輝2023年6月3日 12時18分 大雨の影響で3日も始発から運休が続いていた東海道新幹線は同日正午過ぎ、東京―名古屋間の運転を再開した。再開直後は多くの利用客を運べるよう、午後0時台に普通車全席自由席の臨時「のぞみ」を上下10本走らせる。 JR東海によると、山陽新幹線との直通運転も午後2時以降に再開する予定だ。(細沢礼輝)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

土砂崩れで住宅1棟が倒壊、30代の住人男性と連絡取れず 浜松

2023年6月3日 12時39分 3日午前7時半ごろ、浜松市北区引佐(いなさ)町で「土砂崩れがあった」と近くに住む人から119番通報があった。住宅1棟が倒壊し、住人1人と連絡が取れないという。 浜松市消防局によると、住宅には30代の男性が1人で住んでいる。土砂崩れが発生した当時、住宅にいた可能性があるとみて午前中から救助活動を始めた。 静岡県警機動隊と細江署も約30人態勢で捜索、救助活動をしている。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

映像作家の太田光海さん、青高で育んだ原点 「世界回って気づいた」

狩野浩平2023年6月3日 13時00分 文化人類学者で映像作家の太田光海(あきみ)さん(33)は東京都立青山高校の卒業生だ。南米・アマゾンの熱帯雨林で撮影した映画が、国際映画祭などで高く評価された。国際色あふれる活動の原点は、東京のど真ん中で過ごした高校時代にあるという。 高校時代は自己主張の強い方で、基本的に「いじられキャラ」だったという太田さん。入学直後の授業で先生から質問が投げかけられた時、周りを気にして誰も発言しない中、勢いよく手をあげて「モノカルチャー経済です!」。その後、「モノカルチャー太田」というあだ名が付いた。 思い出深いと振り返るのは文化祭の「外苑祭」。同級生が作ったある映像作品が、映像作家になるきっかけになったという。 人が入れる箱を置き、同級生が1人ずつ箱の中に入っていく様子を撮る――。その同級生は、人が入るシーンだけをつなげて、あたかも箱の中に無限に人が入っていくかのように編集した。「映像ってこんな表現ができるんだ」。そう衝撃を受けたという。 進学校で知られる青山高校。ただ太田さんは「文化的感性の鋭い人が多い」と話す。周囲の原宿、表参道、渋谷にはおしゃれなカフェやギャラリーが多く、「通学するだけでも若者のカルチャーに触れられる」。太田さんは軽音楽部で、よく友達とCDショップに行き、その選曲に「高校生なのにすごいディープな音楽を聴いていて、刺激を受けた」と振り返る。 現在は海外を舞台に活躍する。「世界を回って気づいたのは、青高の周りには世界都市・東京を象徴する施設が集中しているということ。国立競技場、明治公園、神宮球場。外苑の風を受けながら学んだことが基礎になり、熟成されて意味を持っているのだと、大人になった今ひしひしと感じています」(狩野浩平)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル