有料記事 力丸祥子 西堀岳路2023年7月7日 16時00分 南風だ。最高の波が期待できる。 日差しが照り返す白い砂浜を裸足で感じながら、サーフボードを抱えて青い海へ向かう。 旅館業、吉田健太郎さん(37)の出勤前の日課だ。 8月、ふるさとの福島県楢葉町の岩沢海水浴場で「第1回岩沢サーフィンゲームス」が控える。 全国各地から170人ほどの申し込みがあり、3分の1の参加者は県外から。キャンセル待ちが出るほどの盛況だ。「福島の海を好きだって言ってくれる人がいることがうれしい」 東日本大震災前まで25年間続いていた「楢葉町長杯」の後継大会として、仲間たちと2年がかりで企画した。「大会を開けば、宿泊や飲食で地域のにぎわいに貢献できる」との思いからだ。 会場は、東京電力福島第一原発から南に約20キロの海岸だ。町の避難指示は2015年9月に解除された。町は津波で被災したトイレを新設し、破損した水道管などの工事も終え、22年夏、12年ぶりの再開にこぎ着けた。 吉田さんが家族や従業員ら約50人と営む旅館やホテル、長期滞在用のアパート計5棟のうち4棟は海水浴場からいずれも2キロ圏だ。 原発事故直後のように除染作… この記事は有料記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
出動先住宅で828万円横領 「大金目にしてつい」 三鷹署員を免職
2023年7月7日 16時35分 110番通報で赴いた住宅から現金数百万円を盗んだとして窃盗容疑で逮捕され、占有離脱物横領罪で起訴された三鷹署地域課の男性巡査長(25)=三鷹市下連雀=について警視庁は7日、懲戒免職にし、発表した。 人事1課によると、巡査長は5月20日、110番通報を受け、一人暮らしだった60代男性が自宅で死亡した事案の現場に入った。その際に現金入りのショルダーバッグを室内で見つけ、同日夜に2回に分け計828万円を抜き取り、横領した。 バッグにはもともと1278万円が入っていた。あったはずの現金がないと同署内で問題になり、翌21日夜、巡査長は持ち去ったうち433万円を戻していた。巡査長は「大金を目にしてついとってしまった」と話しているという。横領した現金の大半は預金するなどしていたという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
決壊した堤防の切れ目、誰が塞ぐべきだった? 県と市が押し付け合い
堤防の切れ目から水があふれて決壊に至った――。5年前の西日本豪雨でそう指摘された場所がある。この切れ目を誰が塞ぐはずだったのか、責任の所在は今もあいまいなままだ。こうした切れ目「陸閘(りっこう)」がどう管理されているのか、総務省も調査している。 陸閘は普段は人が通れるように堤防の一部を切り開き、いざという時は板や扉で閉鎖し、水の流入を防ぐ施設だ。 西日本豪雨で大規模浸水し51人が死亡した岡山県倉敷市真備町では、堤防8カ所が決壊した。その1カ所が、当時は両岸の堤防の切れ目に渡したような構造だった有井橋(ありいばし)の間近だ。陸閘が閉められず、橋の部分から末政川の水があふれ、堤防ののり面を削ったと推定されている。住宅が並ぶ一帯は深く浸水した。 県も市も「管理者ではない」 誰が管理していたのか。真備町の住民らが県や市などに損害賠償を求めている訴訟で、県と市が責任を押しつけ合っている。河川や堤防を管理する県と、道路を管理する市がいずれも「管理者ではない」と主張しているのだ。 国土交通省によると、河川の陸閘の管理は「河川管理施設」なら河川管理者、河川管理者に許可を得て作った「許可工作物」なら作った道路管理者らが担う。ただ、どちらに該当するのか明確な基準はなく、個別に判断されるという。有井橋がある旧国道は2007年に県から市に移管された。県は「陸閘を含めて移管した」と主張。一方、市は「陸閘に関する書面も封鎖用の板も受領していない」と否定する。 堤防には板をはめるような溝があったが、肝心の板は行方不明だ。そもそも、幅員は10メートル超あったが、どんな板で塞ぐのか、どの時点で誰が作業するかなどのマニュアルも確認されていない。 市は豪雨の夜、地元建設業者に土囊(どのう)を積むよう依頼した。「県が管理する堤防の一部をなす施設だが、市民の生命を守るため」(市議会での答弁)。だが、連絡を受けた「オカジュウ」相談役の佐伯修さん(66)が向かうと、すでに橋の上は水があふれ、諦めざるを得なかったという。 東日本大震災では、水門などを閉めにいった消防団員らが津波の犠牲になった。河川の陸閘でも、操作に向かった人に危険が迫る可能性もあり、国は安全を考慮した操作基準を作るよう管理者に求めている。 板「なし」「不明」が続々… 管理が不十分だったのは有井… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「車で走るのが不便になる道」に 学校周辺で新たな交通事故対策進む
交通事故を減らす新たな対策として、警察庁などが全国で普及を進める「ゾーン30プラス」が、香川県で初めて高松市伏石町の太田小学校周辺に導入された。警察による低速度規制に道路管理者によるハンプ(段差)やポストコーンの設置などを「プラス」して、「車で走りにくい道路」にするのがねらいだ。 「ゾーン30プラス」の整備は、2021年に国土交通省と警察庁の主導で始まった。区域(ゾーン)内で最高速度30キロの速度規制をおこなう「ゾーン30」に加えて、道路管理者である地元自治体が、車がスピードを出しにくくする障害物を設置し、歩行者の安全を最優先に考えた道路に作り替える。車の通行量が減り、速度を落とした車のドライバーは歩行者や自転車を発見しやすくなるため、事故防止に効果があるという。22年度末時点で全国66カ所に整備された。 太田小学校のある伏石町は近年、高松市のベッドタウンとして発展。同校の児童数748人(5月現在)で、地域住民の交通安全への意識も高い。ゾーン30プラスの整備は、車社会の利便性とは逆行し、住民の理解が欠かせないことから、同小周辺が「香川県内第1号」に選ばれたという。 県内には、すでに区域内で低… この記事は有料記事です。残り398文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原宿の竹下通りで偽バレンシアガ所持容疑 アパレル店経営者の男逮捕
高級ブランド「バレンシアガ」の偽物の帽子を販売目的で所持したとして、警視庁は、東京・原宿の竹下通りで衣料品販売店を経営する男(53)=埼玉県戸田市=を商標法違反(販売譲渡目的所持)容疑で逮捕し、7日発表した。「店の運営は店長に任せており、知らない」と容疑を否認しているという。 原宿署や東京税関によると、男は、自身が経営する衣料品販売店(東京都渋谷区神宮前1丁目)で、店長の男(33)=同容疑で逮捕=と共謀して6月26日、バレンシアガの商標そっくりのロゴマークがついた帽子2点を客に売るために所持し、商標権を侵害した疑いがある。 店を巡っては、地方から上京した高校生から、偽ブランド品の販売に関する相談が寄せられていた。経営者の男は、同店を含め竹下通りで計3店の衣料品販売店を経営していると説明したという。署は、ほかの2店でも偽ブランド品を販売したとみている。(御船紗子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
苦境の七夕祭りにとんでもない新人 31歳が込める「恩返し」の意味
「日本三大七夕まつり」の一つに数えられる神奈川県平塚市の「湘南ひらつか七夕まつり」が、7日に開幕する。 中心商店街にずらりと並ぶ豪華な七夕飾りで知られるが、参加店舗の減少が進み、いかに規模を維持するかが関係者の悩みの種。 そこに若手の七夕飾り作家が彗星(すいせい)のごとく現れ、その完成度も相まって話題となっている。いったい何者なのか。 市役所に「七夕飾りを掲出したい」 平塚七夕は、空襲で焼け野原となった平塚の復興まつりを前身に、戦後間もない1951年に始まった。 当初は商店街の店の従業員らが総出で作るくす玉や吹き流しなどの素朴な飾りだったが、次第に電飾や大がかりな仕掛けを競うようになり、最盛期の93年には361万人もの見物客を集めた。 しかし、バブル経済の崩壊や商店街の不振、従業員の高齢化などで撤退する店が続出。90年代後半からは飾りの減少が目立つように。 地元では、資材とノウハウ、作業場を提供して市民につくってもらう「市民飾り」を始めたり、市全域の企業に出品を募ったりと模索が続いてきた。 「おじいさんかと思ったら…」 そこに現れたのが、都内でデ… この記事は有料記事です。残り1562文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「アルマーニ標準服」騒動から5年 銀座の公立小学校はどうなった?
公立小学校ながら、高級ブランド「アルマーニ」が監修した標準服を採用し、大きな話題となった、東京都中央区立泰明小(同区銀座5丁目)。採用から5年がたち、当時の新入生は6年生になった。その後を取材した。 6月の午後。フランス門と呼ばれるレトロな校門付近で子どもを待つ保護者の姿が見えた。子どもたちは白い帽子に白いシャツ、紺の半ズボンなどの標準服を着ていた。周りの人々が子どもたちを気にする様子はなく、近くの店員は「アルマーニ騒動、忘れてました」と話した。 アルマーニ監修の標準服の着用が始まったのは2018年春。1878(明治11)年開校で数々の著名人が輩出、帝国ホテルや銀座4丁目の交差点にもほど近く、校舎は09年に都の歴史的建造物に選定された。そんな同校を当時の校長は特別な存在と考え、「伝統ある、そして気品ある空間・集団」への「帰属意識」「誇り」「美しさ」を保つ象徴として「ブランド標準服」を選んだとされる。他の有名ブランドにも打診し、アルマーニが受けたという。 ただ公立小と高級ブランドという取り合わせは、議論を呼んだ。当時報じられた値段は上着など基本の一式で4万円超。それまでの標準服の2倍以上だった。夏服、冬服など全てをそろえると、計8万円前後と話す保護者もいた。着用義務は無いものの、実質的には制服に近く、話題となった直後の18年2~3月、「なぜアルマーニなのか」「保護者の負担を減らすべきだ」などの60件以上の意見や苦情が、中央区教育委員会などに寄せられたという。 それから5年。 「アルマーニ」騒動から5年後の泰明小学校 2018年春、「アルマーニ」騒動で大揺れとなった泰明小学校。保護者らに取材すると、意外な答えが……。 「保護者から不満が出ている… この記事は有料記事です。残り994文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
いじめ相談 でも「チクリ」批判が怖い 学校タブレットで解決めざす
いじめや悩みを相談したい。でも……。ためらう子どもの気持ちのハードルをどうやって下げることができるだろうか。愛知県日進市教育委員会は、小中学生に1人1台持たせているタブレット端末を使って相談窓口を設け、課題解決に取り組んでいる。 タブレット端末の画面にある「いじめSOS」というアプリのアイコンをクリックすると、「日進市いじめ相談SOS窓口」のページが開く。 相談内容は質問形式で伝える仕組みだ。自分が「いじめ」を受けていて相談したいのか。ほかの子が「いじめ」を受けているのを見かけて連絡したいのか。どんな「いじめ」なのか。どんなことを相談したいのか解きほぐす問いが続く。 小学校低学年向けはひらがなを多く使い、設問は5項目まで。高学年向け、中学生向けとそれぞれ問いかけの文章を変えている。設問は高学年だと8項目、中学生は15項目ある。 中学生の相談が少ない その原因とは 「どのように質問すれば、子… この記事は有料記事です。残り1544文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「有力なOBたちの名代だ」 本社を訪れた元大物官僚が求めたポスト
上場企業の「空港施設」。その経営トップ人事をめぐる紛糾は、国土交通省OBで、当時取締役だった山口勝弘氏(64)の主張が通るかたちで決着した。 代表取締役副社長に自身が就任することが、古巣である国交省側の意向だ、という主張だった。 山口氏の副社長就任時は、コロナ禍のただ中だった。 会社の足元の業績は厳しかった。 初の民間出身として社長に就任した乗田俊明氏(65)ら経営陣は、2022年5月に中長期経営計画をまとめ、収益の多様化など民間目線のビジネスを推し進めるべく骨を折っていた。 思わぬ大物が空港施設社の本社を訪れたのは、そんなコロナ禍で迎えた3度目の師走。22年12月13日だった。 本田勝氏(70)。 航空行政などをつかさどる国交省で、事務方トップの事務次官まで上り詰めた人物だ。 アポイントは本田氏側からだった。 当時会長だった稲田健也氏と乗田氏が、応接室で対応した。 トップ人事「方針が固まった」 コロナ対策で、ドアは開けっぱなし。本田氏はドアに近い側に座って話し始めたとされる。 国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の3回目。空港施設社を訪ねてきた国交省の元事務次官は「方針が固まった」として同社に天下っていた国交省OBを社長にするよう求めました。元次官と会社側の当時の詳細なやりとりです。 本田氏は、国交省で鉄道局長… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
通報4回、奪われた18歳の命 識者がみた横浜の大学生殺害事件
有料記事 手代木慶 阿部育子 村上潤治2023年7月7日 6時30分 横浜市鶴見区で6月、大学生の冨永紗菜さん(18)が元交際相手に殺害された事件。遺族は「警察に相談しても有益なアドバイスをもらえなかった」とのコメントを出した。2人の間でトラブルがあったとする通報で、警察は計4回出動していた。ただ、被害届がなく、本格的介入には至らなかった。なぜ命を救えなかったのか。 事件は6月29日午前10時15分ごろ、冨永さんが住むマンション駐車場で発生。冨永さんを包丁で複数回刺して殺害したとして、神奈川県警は元交際相手の自称会社員伊藤龍稀(はるき)容疑者(23)を殺人容疑で逮捕した。 知人によると、冨永さんは伊藤容疑者と、アルバイト先の飲食店で知り合ったという。2人は2年ほど交際したが、トラブルが絶えず、県警には2021年10月以降、計4回の通報があった。 県警の説明によると、1、2回目の通報時、県警はそれぞれの親に口頭で、適切な対応をとるよう監護を依頼。3回目の昨年12月、冨永さんは「別れたら殺す、と言われた。首を絞められた」と県警に訴えたが、翌月には「仲直りした」と話したため、県警は取り扱いを終えた。 交際解消後、過激化した容疑者の行動 今年6月22日にも、けんか… この記事は有料記事です。残り1072文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル