3年前、長野市内の小高い丘の上に1組の家族が移住してきた。元々、県内でホテル経営をしていたので、新しい場所でも宿泊業などを検討していた。
しかし、新型コロナの感染拡大の影響で断念。悩んだ末に決めた次の仕事についてSNSにこう投稿した。「キャンプ場作っています」。
まだ竹やススキで荒れ放題だった整備前の敷地の写真も添えた。しばらくすると「手伝いに行きたい」というメッセージを寄せる人たちが現れた。実際に集まってきた人たちには共通した思いがあった。
キャンプ場の開設を計画したのは前田宗之さん、教恵(のりえ)さん夫妻。元々、愛知出身の宗之さんは40代後半の頃に北アルプス山麓(さんろく)にある長野県小谷村に移住。スキーやトレッキングが楽しめる栂池(つがいけ)高原にあるホテルで約20年間、経営に携わった。
そこで教恵さんと出会い結婚。繁忙期は寝る時間がほとんどないほど忙しかった。
「興味がある」「手伝います」相次ぐメッセージ
子どもの進学先の関係で長野駅近くに新居を探すことになった。2019年の夏、空き家バンクを通じて見つかったのが中心市街地から車で30分ほどの場所にある豊野町。約2800坪ある土地の周辺はリンゴやブドウ畑、民家が点在していた。
2匹の愛犬がいる前田さんは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル