無人の自動運転から有人での手動運転に切り替え、逆走事故から3日ぶりに運行を再開した「金沢シーサイドライン」に、新杉田駅から乗り込んだ。
運転台の前には、従来はいない運転員が座っていた。その横には整備担当者が立ち、運行会社の念の入れようがうかがえる。
午前11時20分、出発。車内には他に、1車両当たり10人程度、全体で約50人が乗車した。みな座席に深く腰を掛け、座ったまま近くの手すりを握り締めている乗客も。利用者に与えた事故の衝撃を物語っていた。
走行中、運転員と整備担当者は、信号などの運行システムに異常がないことを2人で確認。整備担当者は途中駅で下車していった。
市大医学部駅まで利用した藤沢市に住む自営業の男性(63)は神経の難病「脊髄(せきずい)小脳変性症」を治療するため、8年前から横浜市立大学付属病院(同市金沢区)に通っている。
つえを手に、介助が欠かせない。歩くとふらついたり、手が震えたりする症状が出るため、代行輸送バスでの通院は難しいという。男性は「シーサイドラインは命綱。事故のないように、とにかく安全に運行してほしい」と注文した。
列車は金沢八景駅で折り返し、新杉田駅に戻った。車止めまで残り25メートル。決められた停止位置で列車を止めた運転員の表情は、緊張から安堵(あんど)に変わったように見えた。
神奈川新聞社
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