共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が2020年5月17日の紙面で、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で継続的な発行に「大きな困難」をもたらしているとして、読者に協力を求める記事を掲載した。
共産党は、過去の党大会や赤旗紙面でも部数拡大を訴えてきたが、今回の記事で異例なのは、ウェブサイトの無料記事を読んでいる人に対して、有料の紙媒体や電子版の購読を求めている点だ。赤旗は党の関係者が配達する定期購読が原則だ。売店やコンビニでの1部売りの割合が高いスポーツ紙や夕刊紙は、テレワークの拡大でさらに大きな影響を受けているとみられ、こういった「SOS」が広がる可能性もありそうだ。
■購読の継続、知人への紹介に加えて…
記事は「コロナ危機のもと、『しんぶん赤旗』を守るために力をお貸しください」と題して小木曽陽司・赤旗編集局長と山本豊彦・日曜版編集長の連名で出され、
「私たちが、読者のみなさんに、率直にお伝えしたいのは、コロナ禍は、『しんぶん赤旗』の継続的な発行にとっても、大きな困難をもたらしているということです」
「コロナ禍のもと、読者が少なくなり、新聞の継続的な発行ができなくなるような事態は、どうしても避けなければなりません」
などと訴える内容。「次のことを、心から訴えます」として、読者に3つの事柄を訴えた。最初の2つが購読の継続と知人への紹介で、3つめが
「インターネットのホームページで、『しんぶん赤旗』のテキスト記事をご覧になっている方もおられると思います。紙面を一覧できる「紙」の日刊紙、日曜版、あるいは電子版をぜひご購読いただくようお願いします」
というもの。つまり、無料で読める記事だけではなく、有料の記事も読むように求める内容だ。
「しんぶん赤旗」事業は「党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割」
赤旗は独自の調査報道に定評がある。例えば19年に発覚した「桜を見る会」の問題をいち早く指摘し、野党合同ヒアリングでは赤旗のコピーが参考資料として配られるほどだが、それでも部数減に悩まされてきた。
19年8月には日刊紙と日曜版の読者数が100万を割り、岩井鐵也・財務・業務委員会責任者が19年8月28日付けで「『しんぶん赤旗』と党の財政を守るために」と題して出した声明では、100万人割れは「重大な事態」で、「この後退が『しんぶん赤旗」』発行の危機をまねいている」と指摘、さらに、共産党は政党助成金を受け取っていないことなどを背景に、
「『しんぶん赤旗』の事業は党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割を担っています。『しんぶん赤旗』の危機は、党財政の困難の増大そのものです」
と訴えた。20年1月の党大会で山下芳生・幹部会副委員長(参院議員)が行った中央委員会報告でも、
「党員数や『赤旗』読者数の後退とともに、原則的な支部活動や党生活の崩れ、配達・集金活動や党機関財政の困難など、党の質的強化が求められている課題が少なくありません」
と指摘。この時点での読者数は「日刊紙、日曜版、電子版をあわせて約100万人」だとされている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
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