夏休み期間中に弁当が必要な学童保育で保護者の負担を減らそうと、外食チェーン大手のワタミ(東京都大田区)は豊島区と提携し、21日まで区内22カ所の学童クラブで弁当の提供を行っている。同社が展開する食事宅配サービスを活用したもので、1食500円。学校の長期休業中、学童では弁当持参の必要があり、共働きやひとり親の負担となっていた。今回は試験的な導入で、同区は「公民連携で保護者の負担軽減に取り組んでいきたい」と話す。(本江希望) 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、例年より遅い夏休みが始まった11日。学童クラブ「子どもスキップ南池袋」には、指導員による紙芝居に聞き入る子どもたちの姿があった。 お昼ご飯の時間になると、各自、弁当を広げ始める。ワタミによる弁当提供の初日で、3割ほどの児童が利用していた。メニューは日替わりで、この日は鶏肉のしょうがだれ、がんもどきの煮物など4種類のおかずと炊き込みご飯。食べ慣れない食事で箸が進まない児童もいたが、弁当を完食した男児(7)は「おいしかった」と笑顔を見せた。 ワタミ宅食事業本部の菊本哲法人営業本部長は「おいしいと思ってもらえるのが一番。児童や保護者の意見をとり入れ、より良いお弁当を作りたい」と意気込む。同社は高齢者をメインターゲットに1日23万人が利用する宅食事業「ワタミの宅食」を展開。今年3月から新型コロナによる臨時休校の小中高生向けの弁当支援などを行っていた。 豊島区の金子智雄教育長は「これまでも学童では昼食提供の要望があったが、配送などの課題から区として対応することが難しかった。民間は事業展開が早く、この夏に実現することができた。公民連携で保護者の負担軽減に取り組んでいきたい」と話す。 これまで弁当の提携については、配送やアレルギー表示、注文や支払いに関わる事務作業などが課題となっていたが、ワタミ側でこれらを一括して実施できることから、区と同社は7月29日に弁当提供の連携協定を締結。今回の実施結果を踏まえた改善を加え、来年の長期休業でも実施したいとしている。 子どもスキップ南池袋の近藤眞奈美所長は「お弁当の選択肢が増えることで少しでも保護者の気持ちが楽になり、子育てに余裕ができたらうれしい」と話している。
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