平川仁
【宮城】国の認可法人「外国人技能実習機構」が、技能実習生3人に労働組合を脱退するよう促したのは、団結権を保障した憲法28条に反するとして、3人が加盟する「総合サポートユニオン」(東京都世田谷区)は20日、機構を相手取り、110万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。
訴状によると、30代のベトナム人女性3人は2022年2月、実習先だった宮城県石巻市の水産加工会社で、ミスを指摘された際に反論したことを理由に退職を強要された。その後、ユニオンに加盟し、会社と交渉しようとしたところ、機構職員から「会社が求めているのはユニオンを脱退すること」などと、複数回メールや口頭で脱退を求められたという。
ユニオンは同年12月、機構に謝罪などを求め、機構から「不適切な対応であり、誠に遺憾」とする回答を得た。ただ、回答では「脱退を促していると受け取られかねないメール」と表現しており、「違法性を認めておらず、再発の恐れがある」として、提訴に踏み切った。
この日の会見で、ユニオンの森進生(しんせい)共同代表は「機構は、(原則)転職が許されず、労働問題があっても言いづらい実習生を守る立場のはず。裁判を通じ、再発防止につなげたい」と述べた。
水産加工会社を離れ、県内のほかの職場で働く女性は「日本に行く前、困ったら機構が助けてくれると聞いた。でも、助けてくれず、本当に悪い。謝ってほしい」と訴えた。
同機構仙台事務所の担当者は「個別案件には答えられない」としている。(平川仁)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル