「冷温停止状態」という耳慣れない言葉が、繰り返し報じられたのは今から8年前、2011年の年末のことだ。事故を起こした東京電力福島第一原発について、この状態を達成したとして当時の野田佳彦首相が「事故収束」を宣言した。
冷温停止とは本来、原子炉の運転停止操作によって水温が100度未満になり、安定したことをいう。しかし、燃料が溶け落ち、放射性物質が漏れ続ける事故炉に当てはめるには無理がある。そこで「状態」を付け、漏れが大幅に抑えられているといった独自の定義を新たに設けた。
課題が山積みのなか、達成ありきで言葉を繕う姿勢が批判を浴びた。この5日後、事故収束の工程表に代わって国と東電が定めたのが廃炉工程表(中長期ロードマップ)だ。30~40年後に廃炉を終えると掲げて手順を示した。この工程表の2年ぶり5回目の改訂が昨年末にあった。
廃炉時期の目標は変えなかった…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル