佐藤常敬2023年12月1日 19時30分 今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が1日発表され、福井県小浜市でブランド魚「小浜よっぱらいサバ」を養殖する田烏水産の横山拓也さん(55)が、トップ10入りした「地球沸騰化」で、代表者として受賞した。スピーチで、海水温の異変を訴え、温暖化よりも深刻な気温上昇を警告した。 「地球沸騰化」は国連のグテーレス事務総長の言葉だ。グテーレス氏は、今年6~8月の世界の平均気温が過去最高を更新したことを受け、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と警告し、各国に温室効果ガス削減の具体的な行動を求めた。 横山さんは、酒かす入りの餌をサバに与えることから名付けられた「よっぱらいサバ」の養殖を若狭湾で19年から本格的に始めた。だが、近年は海水温上昇などが影響し大量死が相次いだ。今夏はいけすの海水温が最高31度に達し、3千匹のサバが死んだ。 スピーチで横山さんは「海水温がここ4~5年、毎年上昇し、今年はほとんどぬるま湯のような状況で、手を尽くして魚たちを生かそうとしたが、死なせてしまう悲しい状況を経験した」と話した。 そんな現状を横山さんはSNSやメディアなどを通して情報発信したことで注目され、「地球沸騰化」と向き合う生産者の代表として今回選ばれたそうだ。 横山さんは「沸騰という表現がふさわしいほどの地球温暖化の中で、私よりはるかに厳しい状況で苦しい闘いを続けている1次産業の生産者はたくさんいる」と述べ、「地球の環境を一気に元に戻すのは、不可能だと思うが、私たちが今から取り組んでいくことは、決して無駄には終わらない」と訴えた。(佐藤常敬) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
オスプレイ墜落、海底の隆起は機体の可能性 不明の7人を潜水捜索
【動画】墜落したオスプレイの潜水捜索=飯野祐平撮影 鹿児島県の屋久島沖に米軍輸送機オスプレイ(乗員8人)が墜落した事故で、海上保安庁や自衛隊などは1日も、現場海域で行方不明となった7人の捜索を続けた。午前11時現在、不明者の発見には至っていない。 第10管区海上保安本部によると、11月30日の捜索で音波を出して海底の状況を調べるソナーを投入し、屋久島空港の南東約1・2キロ、水深約30メートルの地点で、周りの地形と異なる隆起があるのを確認した。墜落した機体の可能性があるとみて潜水して捜索。同日は岩しか確認できなかったが、1日も数十メートル潜れる訓練を受けた特殊救難隊などの約10人が、付近で潜水を続けている。 また、この日は、米兵ら約1… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
導入時の担当者に聞く、性教育の「はどめ規定」 当時懸念したのは…
国内外から遅れが指摘される日本の学校での性教育。その障壁として指摘されるのが、学習指導要領の「はどめ規定」だ。中学の保健体育では「受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」としているこの規定は、1998年度の指導要領改訂時に盛り込まれた。現場では、性交を教えない規定だと捉えられている。なぜ、この規定が必要だったのか。山形県の公立小中学校で教員として教壇に立ち、文部省(当時)の教科調査官としてこの改訂に携わった戸田芳雄・前日本安全教育学会理事長は「規定の目的は学習内容の整理だった。『はどめ』をかけた覚えはない」と語る。 ――中学の保健体育で「妊娠の経過は取り扱わないものとする」とした、いわゆる「はどめ規定」。98年の改訂で、なぜ盛り込まれたのでしょうか。 当時は文部省の教科調査官の立場で「規定」を入れることに携わりました。 その頃、性教育に関しては「もっとしっかり教えるべきだ」という推進派から、「若者の性が乱れる」との反対派まで、社会に様々な意見があり、それぞれが強く主張していました。文部省にも、意見や批判が届きました。 98年の改訂は非常に難しいものでした。かつての詰め込み教育の反動から、後に「ゆとり教育」と呼ばれる新課程を作らなくてはならず、授業時間数が大幅に削られました。中学の保健体育も例外ではなく、保健分野は55時間から48時間程度に減少しました。当時は「精選」という言葉がよく使われ、それまであった、教科や学年の間で学ぶ内容の重複を避けることが重要な課題でした。 一方で、健康課題として、ストレスへの対処法など心の健康に関することや阪神大震災(95年)の教訓からの防災教育、HIVなどの性感染症の予防などが、保健分野の新たな課題として上がっていました。授業時間数が減る中、この三つの重要な要素を盛り込まなければいけない。学習指導要領はあくまで、「これだけは学習する」という最低基準。あまり内容を盛り込みすぎないようにするのが大前提です。 性教育をすること自体は良いと思いますが、教科の目標や内容、授業時間数を考慮すると、保健という教科で全てを教えるわけにはいかないと考えました。理科や社会科、家庭科が担う部分もあり、重複することはできない。保健では、身体の発育以外の内容が広がりすぎないように、と考えました。 ――取り扱わない項目が、「妊娠の経過」だったのはなぜなのでしょうか? 当時、教職員への聞き取りや… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ショー化する記者会見」 本来の「戦い方」考えるとき 石戸諭さん
「記者会見がショー化しているのではないでしょうか」。元毎日新聞記者で、ノンフィクションライターの石戸諭さんは、旧ジャニーズ事務所の記者会見をめぐる議論を見ながら、そう感じてきたといいます。どういうことなのでしょうか。石戸さんに話を聞きました。 ◇ 旧ジャニーズ事務所側が記者会見の際に「NGリスト」を作っていたことをネットメディアや、マスメディアの多くは「けしからん」という論調で報道しました。気持ちはわかりますが、問題はもう少し複雑です。考える前提から整理してみましょう。 企業の場合、記者会見をする義務はなく、どのような形で会見を運営するかは、企業の裁量に委ねられています。「NGリスト」を作ることも自由です。一方、不祥事を起こした企業が、社会に対して説明責任を果たそうとしない場合、記者たちは当然厳しく追及する自由があります。企業の対応の是非を最終的に判断するのは、読者や視聴者の役割です。 騒動の背景に「エンタメ化」する記者会見 今回の騒動の一番の原因は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察の「お堅い」詐欺防止冊子、心理学専攻の大学生アイデアで刷新
西岡矩毅2023年12月1日 12時30分 多発するニセ電話詐欺の被害を減らそうと、九州産業大学(福岡市)で臨床心理やデザインを学ぶ学生と福岡県警がタッグを組み、「電話対応ハンドブック」を作った。警官が示した原案を、学生のアイデアで親しみやすく生まれ変わらせた、その中身とは――。 県警の要請に応じて協力したのは、人間科学部臨床心理学科と芸術学部ビジュアルデザイン学科の3年生4人と、大学院生1人の計5人。詐欺を見抜くためのチェックリストや警察に通報する時に伝える内容などを盛り込むハンドブックの表現を練り上げた。 作業は5月にスタート。県警側が「被害にあわないための4箇条」として当初示したのは、「理解する」「信用しない」「お金の話は詐欺」「すぐに相談」という文言。これに対して、心理学専攻の学生らが「四つは多い」「『信用しない』と否定する言い方は頭に入りづらい。『○○しましょう』と提案する方がいい」などと注文。協議の結果、完成品は「詐欺対策3ケ条」で、「理解しましょう」「疑いましょう」「落ち着きましょう」となった。 芸術学部の学生らはデザイン面で意見を出した。その一人、本告優人さんは「字が多いと分かりづらい」「丸みがあるデザインの方が親しみやすく、手元に置いてもらえる」と提案。完成品では、注意を引きつける黄色を背景に採用し、一目でわかるピクトグラム(絵文字)も使うことになった。 作業を終え、臨床心理学科の亀山ひかるさんは「納得できる仕上がり。祖父母にも渡したい」。県警生活安全総務課の谷川亨課長は「我々が作ると、紋切り型で堅くなってしまう。注意を投げかけられる、良いものができた」と喜んだ。 県警によると、今年1月~10月末までに県内で起きたニセ電話詐欺の認知件数は466件(前年同期比183件増)で、被害額は9億1千万円(同2億2千万円増)。そのうち、半数以上の317件の被害者は65歳以上の高齢者で、被害額は全体の8割以上にあたる7億6千万円にのぼった。 完成したハンドブック(A4判、6ページ)は9万部を用意。今後、各署や年金事務所などで配布し、警官が地域を巡回する時にも配る予定という。(西岡矩毅) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「なぜ学ぶ?」「故郷と重なった」 学生が水俣と向き合った34日間
福岡市で11月14日までの34日間開かれた「水俣・福岡展」は、地元の大学生らが展示の説明員などとして運営を支えた。若者たちは水俣とどう向き合い、何を伝えたのか――。(伊藤未来、福井万穂) 展示会場の入り口に掛けられた、ひときわ大きな少女の写真。水俣病の公式確認のきっかけとなった患者、田中実子さんだ。 「この方は病気のせいで普通の生活ができず、話すこともできなくなりました。最後に発した言葉は『くつがはけない』だったそうです」 西南学院大(福岡市)法学部3年の藤田汐音さん(21)はその写真を前に、自らの言葉で、来場者に説明した。 水俣病を研究テーマの一つとする同大の田村元彦・准教授(地方自治論)のゼミに昨年入り、本や映像で学び始めた。今年、現地を訪れ、患者や家族の話を直接聞くと、見え方ががらりと変わった。 自分の父親はどう見ても水俣… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宝塚大劇場での公演、2カ月ぶり再開 劇団員死亡問題での中止から
宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が9月末に死亡した問題を受け、中止されていた宝塚大劇場での公演が1日、2カ月ぶりに再開し、雪組公演が開幕した。 11月10日に開幕予定だった雪組公演は3週間遅れの初日となった。演目は名探偵シャーロック・ホームズを生み出した作家アーサー・コナン・ドイルの物語「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」と、来年の雪組100周年を祝うレビュー「FROZEN HOLIDAY」。満席で立ち見券も完売した。 劇団員の女性が所属していた宙(そら)組の宝塚大劇場公演は10月1日から千秋楽まで中止、東京宝塚劇場公演は開幕予定だった11月25日から12月14日まで中止となった。(河合真美江) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「衝撃、不安」「中止が当然」 各地でオスプレイ飛行停止求める声
米軍の輸送機オスプレイが墜落した衝撃は、関係する全国の自治体にも広がった。情報収集に追われ、徹底した原因究明や一時的な飛行停止を求める声が相次いだ。 沖縄県は11月29日、事故原因が究明されるまで全ての米軍オスプレイの飛行を停止するよう日本政府を通じて米側に求めた。 だが、市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)周辺では30日、防衛省の飛行停止要請後もオスプレイの飛行が相次いで確認された。 宜野湾市内の女性(50)は「昨日の今日で飛んでいるなんて」と驚いた様子で話した。 事故のことが気になり、基地を見渡せる高台を訪れたといい、「危険性がずっと指摘されているのに普通に飛んでいる。もし落ちたらどうするのかと思うと不安で、怒りがわく」と語った。 鹿児島県は29日午後2時45分ごろ、県警から「屋久島空港近くの海岸にオスプレイが左エンジンから火を噴いて着陸した」との連絡を受けてから、夜通しで情報収集にあたった。 県は30日、防衛省九州防衛… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かつては団体客殺到、今は 京都の映画村、開園半世紀で全面刷新へ
東映太秦映画村(京都市右京区)が、2025年の開園50周年にあわせて初めて全面リニューアルをすることになった。2024~28年に街並みの中に来場者が楽しめる店舗や酒場、温浴施設などをつくり、従来の客層の家族連れに加えて外国人観光客らを呼び込みたい考えだ。 東映が11月25日に発表した。3期に分けて工事をして、第1期は25年に開業する予定。江戸時代の町並みの一部や飲食・物販の店が並ぶ中央通りがオープンする。第2期では街並みが完成するほか、忍者ショーなどが見られる芝居小屋を整備。28年までの第3期には江戸風の温浴施設をつくる。 営業を続けながら工事を進め、総事業費は約120億円を見込んでいる。時代劇を「観(み)る」ことにとどまる場所から、時代劇の世界に没入できる場所へ生まれ変わることをめざすという。 開園以来最大規模の改修に踏み切った背景には、東映太秦映画村を取り巻く現状の厳しさがある。1975年に日本初の時代劇テーマパークとして開業し、時代劇の撮影を目の前で見ることができる施設として人気を博した。全国の修学旅行生や団体旅行客が殺到し、82年には約256万人が訪れた。 東映社長が打ち明ける事情 しかし、開場から50年近く… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHK取材メモがネットに流出か 幹部ら「本物では」「重大事案だ」
NHKの報道局員が作成した取材の企画案や関連の取材メモなどが記された文書が外部に流出した可能性があることが、複数のNHK関係者への取材でわかった。X(旧ツイッター)では、流出したとみられる文書が拡散されており、複数のNHK関係者が朝日新聞の取材に「本物とみられる」と証言。取材で得た情報を報道目的以外で流出させた可能性があるとして調査をしている。 X上で拡散されている文書は、ネットの誹謗(ひぼう)中傷の問題を取り上げる取材の企画概要が記載されたものと、関係者インタビューを文字起こししたものがあり、いずれも「文書種別」の項目に「連絡メール」と記載されていた。また企画概要には「放送希望」「12月1日 『首都圏ネットワーク』で5分程度」とも書かれていた。 NHK関係者は「(文書の)仕様はNHKのもの」とした上で、こうした文書は、局内のネットワーク上に保管され、不特定多数の局員が閲覧できる状態にあるという。 インタビューは、都内の虐待や性暴力被害を受けた女性を支援する団体に、ネット上でかつて中傷を繰り返した「匿名男性」に対して行ったとされるもので、19ページに渡ってその一問一答などが記されていた。 また、このインタビューで男性が中傷するきっかけになったと言及し、この団体を批判している人物が、11月28日にX上で、「(男性に)インタビューしたこちらの記事が放送されるかもしれない」と投稿し、文書を入手できるリンク先を掲載していた。 NHKは朝日新聞の取材に「取材・制作の過程についてはお答えしておりませんが、ご指摘の内容は把握しており、現在、事実関係を確認中」とコメント。あるNHK幹部は「情報が流出してしまった重大事案だとみて、流出の経路などを調べている」と話す。(宮田裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル