会員記事 川村さくら、斎藤徹 上野創、桑原紀彦2021年5月13日 21時47分 支払い義務を超えた奨学金の返済は無効――。日本学生支援機構が保証人に全額返済を求めたことについて、13日の札幌地裁判決は明確に否定し、原告側に安堵(あんど)が広がった。多くの学生が奨学金を利用するなか、保証人を立てて借り入れる仕組みの是非も問われている。 教え子が音信不通に 「法律に盛られていることを、裁判官がきちんと判断してくれた」。判決後の会見で、保証人だった元高校教諭の男性(75)=北海道小樽市=は安心した表情で語った。 工業高校の教え子から頼まれ、学びたいという思いを応援しようと引き受けた。男性もかつて日本学生支援機構の前身の日本育英会から奨学金を借り、高校、大学へ進み、教員の夢を実現した。 教え子は大学を出て就職したが、返済が滞るようになり、何度か会ったが、やがて姿をくらました。奨学金だけが残った。機構からは頻繁に電話やファクスで返済を求められた。消費者金融からしつこく借金の取り立てを受けているようなやりとりが続いた。冷たい言葉を浴びせられ、「これが困窮している学生を支える組織の人の言葉なのか」とがくぜんとした。8年間のやりとりの末、2019年5月、奨学金のあり方に一石を投じたいという思いで、札幌地裁に裁判を起こした。 男性は会見で「泣き寝入りせずに、おかしなことはおかしいと言うべきだと頑張ってきてよかった」と話し、こう結んだ。「奨学金は、将来を担う子どもたちを育てることが目的のはずだ。この判決を機に、機構にはその原点に立ち返ってほしい」 同様の訴訟は東京地裁でも係… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1158文字/全文:1813文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宮古島の贈収賄事件 市側の要望で業者の土地が候補地に
沖縄県宮古島市への陸上自衛隊配備をめぐる贈収賄事件で、市側の要望で、贈賄容疑で逮捕された業者の土地が駐屯地の候補地に加えられたことが、防衛省関係者への取材でわかった。前市長の下地敏彦容疑者(75)=収賄容疑で逮捕=は市長当時、この業者の土地について、市議会で「利便性がいい」などと発言していた。 県警は13日、下地容疑者を収賄の疑いで送検。市役所と市内の自宅を家宅捜索した。捜査関係者によると、下地容疑者は金銭受領は認めているが、便宜を図ったかどうかはあいまいな供述をしているという。 防衛省関係者によると、同省は当初、島北側の牧場地域を駐屯地の主な候補地としていたが、市側から要請があり、牧場地域とは別の、今回贈賄容疑で役員が逮捕されたゴルフ場経営の「千代田カントリークラブ(千代田CC)」の土地を候補に加えたという。 市議会の議事録によると、下地容疑者は2016年9月23日の市議会で、防衛省側からは当初、牧場地域に一括配備する案を示されたと説明。そのうえで千代田CCの土地に触れつつ「(防衛省側に)隊舎を分ければ広く島の経済活性化にもつながると話した」と述べた。 さらに同月26日の議会でも、千代田CCについて「経済効果は高いと思う」と発言。同28日は、「(防衛省側に)隊舎としては千代田の方が利便性がいいのではないかと話した」と述べた。 一方、下地容疑者は牧場地域について、16年6月の議会で、駐屯地配備による水質汚染への懸念を挙げ「同地域での施設の建設は認められない」と否定。「その旨を防衛省にも伝えた」と述べた。 県警によると、下地容疑者は、陸自配備の受け入れを表明することで、千代田CCの土地を駐屯地用地として国に売却できるようにするなどの便宜を図り、見返りとして18年5月24日ごろ、東京都内で千代田CC役員から現金約650万円を受け取った疑いがある。 宮古島駐屯地は17年に着工され、19年に発足した。防衛省によると、駐屯地は隊舎を含めて約22ヘクタール。すべて千代田CCの土地で、用地取得費は約8億円。取得費を除く総事業費は約400億円に上る。 加藤勝信官房長官は13日の記者会見で、選定過程について「特段の問題があったとは承知をしていない」との認識を示した。前市長の逮捕については、「警察による捜査なので、政府としてのコメントは控える」とした。一方、陸自トップの吉田圭秀幕僚長は会見で「正当な手続きで用地の取得を行い、駐屯地を開設したと認識している」としつつ、事件については「率直に言って残念に感じている」と述べた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全停止から10年、そびえる「防波壁」 浜岡原発のいま
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)が停止してから、14日で10年が過ぎた。東京電力福島第一原発事故を受けて、菅直人首相(当時)が2011年5月6日に停止を要請。中部電は同14日までに全号機を止めた。その後、中部電は津波対策として高さ22メートルの防波壁を設けている。再稼働への見通しは――。 4月9日、原子力規制委員会の臨時会合。中部電の林欣吾社長が、全停止後に設けた高さ22メートルの防波壁について、「実務者レベル」での検討を訴えた。 しかし、更田豊志委員長はにべもなかった。 「津波の高さが決まる前に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
兵庫・三田市長、高齢者向け始まる前にワクチン接種
2021年5月13日 20時55分 一般高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチンの集団接種が始まる前の兵庫県三田市で、森哲男市長(69)が13日に接種を受けていたことが分かった。 市秘書広報課によると、森市長は13日午前、医療従事者向けのワクチンに余りが出たという連絡があり、急きょ接種を受けた。感染で市政運営に支障が出ないようにする危機管理のためだったという。同市では一般高齢者への集団接種は17日からを予定しており、森市長は「時期が早かった点については、慎重に対応するべきだった」と話しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入管報告と診察記録に矛盾 女性死亡、医師は指示したが
死亡の経緯を隠す意図は本当になかったのか――。名古屋出入国在留管理局で3月、収容中のスリランカ人女性が死亡した問題で、出入国在留管理庁が経緯をまとめて公表した中間報告に、女性を診断した医師による診察内容が反映されていないことに疑念が深まっている。遺族が求める事実解明はおざなりのまま、政府は野党が批判する入管法改正案の成立を急いでいる。 亡くなったのは、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)。面会していた支援団体STARTによると、精神的ストレスで体調不良もあり、食事も歩行もできないほど衰弱していたという。病気などやむを得ない場合に一時的に収容を停止する「仮放免」を昨年12月以降2回申請したが、認められないまま亡くなった。 入管庁が4月に出した中間報告は、亡くなる2日前にウィシュマさんを診断した医師が「仮放免してあげれば良くなることが期待できる」と指摘したことに触れていなかった。入管庁は記載しなかった理由を「名誉とプライバシーの関係から」としたが、同庁を所管する上川陽子法相は「(その理由で書かなかったのは)少し不十分な状況だ」と不備を認めている。 このほか、中間報告には「医師から点滴や入院の指示がなされたこともなかった」とあるが、朝日新聞が関係者から入手した2月上旬の診察記録には、「(薬の)内服ができないのであれば点滴、入院」との記載があった。 ウィシュマさんが受診した病院の消化器内科が作成した「上部内視鏡検査報告書」などの診察記録によると、ウィシュマさんは嘔吐(おうと)を繰り返し、逆流性食道炎の疑いが認められた。記録は「これだけ嘔吐があれば出血ある」として胃酸を抑制する薬で様子を見るとしたうえで、「内服できないのであれば点滴、入院(入院は状況的に無理でしょう)」と記していた。 同省幹部は取材に、この記録の内容を認めたうえで、「診察途中経過を記したもので、最終的には薬の投与を続けるというものだった」と説明。立憲の階猛衆院議員は「(点滴、入院の)指示がなかったというのはとんでもない」と批判している。 STARTによると、当時のウィシュマさんは食事もできず、嘔吐が続くため、面会にバケツを持って現れた。同団体の松井保憲さん(66)らはウィシュマさんの衰弱が激しいことを心配して名古屋入管に度々、点滴を受けられるよう申し入れを行っていたが、点滴を受けられず3月6日に死亡した。 ウィシュマさんは2017年に留学生として来日したが、翌18年に学費を払えなくなり学校を退学。その後、在留期間の更新が不許可となり在留資格を失ったまま、滞在を続けていた。昨年8月、同居人からの暴力を警察に訴え出た後に強制退去処分となり、名古屋入管局に収容されていた。(鬼室黎) 国会で審議中の出入国管理法… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岐阜・下呂市長、「無駄にしない」とキャンセル分を接種
岐阜県下呂市は13日、山内登市長(63)が4月30日に市内の病院で新型コロナウイルスのワクチンを接種していたと発表した。医療従事者の集団接種でキャンセルが出たためという。 市によると、田口広宣・副市長(58)も5月6日にキャンセルが出たため、市のワクチン接種の「タスクフォース本部長」として接種したという。 山内市長は「ワクチンは1本も無駄にできない。コロナ対策の責任者として、感染による行政の空白をつくらないよう接種を決断した」との談話を出した。 山内市長は元県警下呂署長で、昨年4月、現職を破って初当選していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
害獣対策で期待の秋田犬 「おいで、おいで」早くも人気
佐々木達也2021年5月13日 15時58分 秋田県大館市から福島県南相馬市に贈られた秋田犬の「大馬(だいま)」が12日、飼育される小高区上浦で報道陣に披露された。近くの集落では住民から声をかけられ、早くも地域の人気者になりつつある。 大馬は間もなく生後3カ月を迎える体重約8キロのオス。震災後に地区で増えたイノシシなどの害獣対策での活躍が期待され、過疎化、高齢化した集落で、住民の間をつなぐ役割も担う。動物行動学を研究し、2年前に市内に移住した北海道大元助教授の鈴木延夫さん(79)が、市から委託されて育てる。 鈴木さんはすでに、4歳の秋田犬「サンボ」を飼育している。2頭はこの日、近くの中村迫(なかむらさく)地区を「巡回」した。畑仕事をしている住民らに「おいで、おいで」と呼ばれると、2頭ともに寄っていき鼻を寄せた。 地元の江井三千代さん(67)は「小さな大馬がサンボにじゃれついているのを見ると、心が癒やされる」と満足そうだ。鈴木さんは「住民をつなぐ存在に育てたい。将来はドッグセラピーセンターを作ることもできれば」と話した。(佐々木達也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
開発に20年 東海道新幹線に光ファイバー架線導入
JR東海は、光ファイバーを使った新型架線を約20年かけて開発し、2月から東海道新幹線で導入を進めている。架線が摩耗したり切れたりした場所を特定しやすくなるという。 同社によると、架線が切れると、復旧までには長い時間がかかりやすい。2017年に大阪府高槻市で架線が切れた事故では、東海道新幹線が約5時間運転を見合わせた。 架線の中でも、車両に電気を供給する「トロリ線」はパンタグラフと接することから、断線する前に、摩耗の進行を把握することが重要だ。 現在の東海道新幹線では、夜… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
過酷な労働、逃れた先は「失踪村」 身寄せ合う元実習生
【動画】PremiumA「失踪村」~ベトナム人技能実習生~ 途上国への技術移転の名目で、安い労働力として使われてきた技能実習生。今、その半数以上を占めるのがベトナム人だ。劣悪な労働環境を苦に失踪するケースが後を絶たない。彼らはなぜ逃げ出し、コロナ禍のなか、どこでどう暮らしているのか。取材を進めていくと、最近、事件の舞台にもなった北関東の小さなアパートにたどりついた。その辺り一帯は、「失踪村」と呼ばれていた。 まだ冷たい風が吹いていた2月11日の昼、JR高崎線の本庄駅から車で15分ほどの場所にある木造2階建てのアパートを訪ねた。周囲には、昔からの畑や養鶏場に交じって、鉄鋼やプラスチック工場が集まる工業団地が点在する。畑でお年寄りが農作業をしているくらいで、人通りはあまりなかった。 ここは群馬と県境を接する埼玉県上里町。上越新幹線が通る北関東の小さな町だ。関越自動車道の「上里サービスエリア」がある場所と言えば、分かる人もいるかもしれない。 アパートの一室には、実習先から失踪した元技能実習生のベトナム人男性ブー・バン・ズンさん(36)が暮らしていた。 拡大する「失踪村」で暮らすブー・バン・ズンさん=2021年2月19日、埼玉県上里町、内田光撮影 案内してくれたのは、NPO「アジアの若者を守る会」代表の沼田恵嗣さん(59)と、ベトナム出身の塩田ユンさん(39)だ。ズンさんから未払い賃金の問題で相談を受けていた。 途上国への技術移転の名で安い労働力として働かされてきた技能実習生。その半数以上はベトナム人だ。劣悪な労働環境などから失踪する例が後を絶たない。「失踪村」にたどりついた元実習生たちから何が見えるのか。 「このあたりは失踪村だよ」… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:3854文字/全文:4407文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「還付金があると電話が」 ピンときた銀行員、被害防ぐ
高原敦2021年5月13日 14時19分 還付金に絡むニセ電話詐欺を防いだとして、福岡県警うきは署は4月27日、福岡銀行田主丸支店の中村文芳さん(48)と井上伸子さん(47)に感謝状を贈った。 署によると4月6日午後1時ごろ、久留米市内に住む女性客(67)が来店し「市役所から『介護保険料の還付金がある。福岡銀行田主丸支店で手続きする』と電話があった」などと話した。事情を聴いて詐欺だと確信した中村さんらは警察に通報。被害は出なかった。 感謝状を受け取った中村さんは「還付金、と聞いて詐欺に間違いないと思った」、井上さんは「今後も未然に被害を防いでいきたい」などと語った。 県警によると、県内では還付金詐欺の予兆電話が急増しており、今年に入って4月25日時点で計90件(昨年同期は0件)に上る。清末佳之署長は「もし窓口に声をかけなかったら、女性は言われるがままにATMを操作していた。銀行やコンビニの方は最後のとりで。今後も協力していただきたい」と話していた。(高原敦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル