希望から絶望へ 地獄の日々に考えた 五ノ井さん「闘い」の覚悟

有料記事聞き手・島崎周2023年12月9日 18時00分 元自衛官の五ノ井里奈さん(24)が名前を出して被害を訴え、強制わいせつ罪で在宅起訴された元自衛官3人の判決が12日、福島地裁である。検察側は懲役2年を求刑し、3人は無罪を主張している。五ノ井さんは、声をあげてから1年半を「地獄のような日々だった」と振り返り、「悪いことは悪いとしっかり裁いてほしい」と語った。 ――この1年半は、どんな時間でしたか 考えて、悩んでの繰り返し。大変なことがたくさんありました。正直、地獄のような日々でした。不起訴になった時は特に、「全て終わった」と思いました。「どうしたらいいんだろう」と、途方に暮れました。 それでも、被告らから直接の謝罪を受けた時、その態度や言葉から、本当に誠意のある謝罪だと感じました。法廷でも事実を認め、反省の弁を述べてくれる、と「希望」を持っていました。 ――被告3人は無罪を主張しました。どう感じましたか 裁判はそれぞれの主張をする場です。驚きはありませんでした。でも、どんな主張であれ、私としては反省の弁を述べてほしかった。しっかり反省してくれれば、裁判長に罪を軽くするように訴えようとさえ思っていたくらいです。 だからこそ、自分たちの行動…この記事は有料記事です。残り1837文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

兵糧攻めから生き残ったのに、食事したら死んだ? 医師らが論文発表

 日本史上、最も有名な兵糧攻めの一つとされる戦国時代の「鳥取の渇(かつ)え殺し」では、多くの餓死者が出た。だが鳥取城の落城後、せっかく生き残った人たちも食べ物を口にした直後に死ぬという奇怪な現象が起きていた。その原因を推察した論文が、国際医学雑誌に掲載された。 天下統一を目指す織田信長の命を受けた羽柴(後の豊臣)秀吉による鳥取城への攻撃は、1580(天正8)年から2年続いた。鳥取県立博物館によると、現在の県庁そばにある久松山(きゅうしょうざん)の山頂やふもとにあった城は、信長を「堅固な名城」とうならせたほど防御力が高かった。 81年、秀吉は兵糧攻め作戦に出る。城内には武士だけでなく多くの非戦闘員も立てこもった。籠城(ろうじょう)は3カ月以上に及び、多数の餓死者が出た。最後は城主の吉川経家(きっかわつねいえ)が切腹することで城内の人命が助かった。 ところが悲惨な事態は続いた。同館によると、信長の旧家臣、太田牛一の記録「信長公記」には、落城後、飢餓状態にあった人々に秀吉が粥(かゆ)を与えると「食に酔って」しまい、過半数がすぐに死んだと書かれている。秀吉の伝記「豊鑑(とよかがみ)」には、粥を大量に食べた者がすぐに死に、少しずつ食べた者は問題なかったとの記述もあるという。医師や学芸員がたどりついた答えは この「奇怪な死」について…この記事は有料記事です。残り781文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

5千個の入れ歯、むき出しの「歯アート」 珍スポットに根づく地元愛

 ないだ海面が日の光を反射し、サファイアのように輝く。そんな瀬戸内海のぜいたくな光景が望める高松市庵治(あじ)町の海岸線に、その美術館はある。 高台の駐車場に着くと、手の形をしたイスが目に入った。沖縄の那覇市や、南アフリカのケープタウンへの距離や方角が書かれた看板標識も立っている。そこから坂を下ると、一層目を引くオブジェが現れた。【撮影ワンポイント】歯ART美術館大きく口を開け白い歯を見せる作品がおもしろい。どう撮影するか考えていると、猫が警戒しながら遠回しに寄ってきた。カメラに広角レンズをつけ、逃げないようにそっと近づく。写真の中で猫が主役にならないように、写真の構図の奥の方に入れた。作品と同じように口を開けた瞬間を撮影した。(小宮路勝) 人間の頭ほどの大きさで、目や鼻はなく、口だけを大きく開けた石がいくつも置かれている。口の中には、真っ白な歯とピンク色の舌。石の表面についたまだら模様とのアンバランスさが、珍妙だ。 一体、これは何なのか…この記事は有料記事です。残り653文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

慶応幼稚舎に挑んだ長男 母が語る「きれいごとでない」小学校受験

 首都圏で、子どもに小学校受験をさせる家庭が増えています。背景に何があるのか。保護者が留意すべきこととは。保護者や塾などへの取材から現状を探ります。    ◇ 小学校受験の情報サイト「お受験じょうほう」を運営する企業「バレクセル」(東京都渋谷区)が実施した首都圏1都4県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)の私立小72校への調査では、2023年度入試の合計志願者数は前年度比407人増の2万6891人。19年度の2万1653人から、コロナ禍を経て24%増えた。同社の野倉学代表は「今後も志願者数は横ばいか微増で推移するのではないか」と予測する。 野倉代表によると、増加の背景には、首都圏で中学受験をする子どもの比率が上がり続けていることがあるという。中学受験へのサポートが手厚い小学校を志望する家庭だけでなく、中学受験を回避するため付属小を志望する家庭も増えているという。 森上教育研究所の調べでは、東京都と神奈川県の私立中が一斉に入試を行う2月1日午前に両都県の私立中を受けた人数は、今年は4万3千人超。1都3県の公立小の全6年生の人数を分母としたときの受験率は15・0%で過去最高となった。コロナ禍の最中、志願者13%増 野倉代表はまた、コロナ禍のもとでオンライン授業への切り替えなどが公立小より早かったことが注目されたのも、私立小学校受験の増加の要因として大きいという。 バレクセルによる私立小72校への調査では、主にコロナ禍前の19年秋に実施された20年度入試の志願者は計2万1980人。これに対し、オンライン授業の急拡大を経た20年秋に主に実施された21年度入試では、志願者は計2万4764人。前年度比13%増と大きく増えた。 野倉代表は「かつては、『この小学校に行きたいから受験する』と志望校を限定して受験をする家庭が一般的だった。しかし、いまは『第1志望ではなくても、評判の良い学校だったら私立小に通う』という家庭も多い」と話す。 子どもに小学校受験をさせる共働き世帯も増え、それに呼応するように給食や放課後の預かり態勢を充実させる学校も増加。最近は、デジタル教育や英語教育に力を入れている学校が人気で、「学校のブランドより教育内容に注目する家庭も多い」と話す。記事後半では、慶応義塾幼稚舎(東京都渋谷区)の受験に挑戦した家庭の体験談を紹介します。首都圏の小学校受験で同校は「最難関」と言われます。「きれいごとではすまなかった」と母親が振り返る受験の実態と、その結果とは。小学校受験は「本人不在の選択」    ◇…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

世田谷一家殺害事件、警視庁が情報提供呼びかけ、発生から23年を前に

長妻昭明2023年12月9日 13時09分 東京都世田谷区で2000年に会社員宮澤みきおさん(当時44)の一家4人が殺害された「世田谷一家殺害事件」が未解決のまま23年を迎えるのを前に、警視庁が9日、現場近くの小田急線成城学園前駅などで情報提供を呼びかけた。 この日、成城署員40人が駅前で事件の概要や犯人の特徴が書かれたチラシとボールペンを配り、情報提供を呼びかけた。熊谷達也署長は取材に「まもなく23年を迎える今だからこそ話せることもあると思います。ささいなことでも情報提供して欲しい」と話した。 事件は00年12月31日に発覚。同区上祖師谷3丁目の宮澤さん宅で、みきおさんと妻泰子さん(当時41)、長女にいなさん(同8)、長男礼くん(同6)が殺害されているのを親族が見つけた。 現場には犯人の血痕や指紋、トレーナーなど多数の遺留品が残されていた。トレーナーは00年8~12月、14都道府県で130着販売され、そのうち118着は購入者が分かっていない。都内では10着販売され、9着は購入者が分かっていない。 警視庁はこれまで捜査員延べ29万3157人を投入して捜査してきた。市民からの情報提供はこれまで1万4416件で、今年は昨年より35件増えた162件寄せられた。 事件解決に結びつく情報を提供した人には公的な特別報奨金(上限300万円)と、有志による私的懸賞金(同1700万円)が支払われる。情報は同署捜査本部(03・3482・3829)へ。(長妻昭明)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

民家に76歳会社役員女性の遺体 頭部などに傷複数、殺人事件で捜査

松尾葉奈 小幡淳一2023年12月9日 13時17分 岩手県警は9日、岩手県北上市二子町の住宅で8日、住人の女性(76)が遺体で見つかり、殺人事件として北上署に捜査本部を設置したと発表した。 県警によると、亡くなったのは会社役員の長谷川緑さん(76)。8日午前9時ごろに自宅を訪問した親族が「長谷川さんが倒れている」と110番通報した。屋内で仰向けに倒れており、司法解剖の結果、死因は頭部損傷による出血性ショックだった。頭に複数の傷があったほか、暴行を受けたとみられる傷もあったという。 長谷川さんは一人暮らし。7日午後7時半に別の親族が、在宅中の長谷川さんを目撃しており、その後に殺害されたとみられるという。 現場は北上市中心部から約3キロ離れた田園地帯の一角。近くを東北新幹線が通っている。 近所に住む60代の男性は「のどかな場所で物騒な事件が起きて驚いている。犯人が捕まらないと心配」と言葉少なに話し、捜査活動を見守っていた。別の男性は「亡くなった長谷川さんは犬の散歩で会うとよくあいさつしてくれた。地区の自治会役員や障害者福祉関連の仕事をするなど活動的な人。こんなことになってしまいとても残念」、30代の女性は「親戚同士で近くに3軒の家を建てて住んでいた。仲のよい家族で周辺の住民との付き合いもあり、なぜ狙われたのかわからない」と話していた。(松尾葉奈、小幡淳一)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

車暴走事件、同姓同名の人物がJCOに訴えたこと 捜査の焦点は

有料記事宮廻潤子 張守男2023年12月9日 9時30分 茨城県日立市役所のイベント会場や東海村役場で車が相次いで暴走し、3人が重軽傷を負った事件。6日に逮捕された自称運転手の男(53)の供述や目撃証言から、わずか数十分の間に起きた二つの事件の背景が明らかになってきた。(宮廻潤子、張守男)同乗の母親「市役所行くことは知らなかった」 県警、容疑者宅を捜索 日立市役所の広場で乗用車が暴走したのは6日午後1時ごろのことだった。広場では約50人が参加する障害者支援のイベントが開かれていた。捜査関係者によると、自称運転手の益子泰(ゆたか)容疑者(53)=日立市久慈町3丁目=は家族名義の黒色の乗用車を運転し、70代の母親と一緒に外出。その帰り道に突然、市役所で暴走したとみられる。 20~40代の男女3人がはねられて重軽傷を負ったほか、止めてあった車や設置されていた机なども破損した。イベント参加者らによると、益子容疑者はそのまま、国道6号を東海村方面へ車で逃走した。県警の事情聴取に母親は「市役所に行くことは知らなかった」という趣旨の話をしているという。 その少し後。日立市の益子容疑者宅前の駐車場で、止められていた車に黒色の乗用車が衝突する様子が目撃された。県警によると、益子容疑者は母親を助手席に残し、近くに止めてあった白い乗用車に乗り換えて走り去ったとみられる。 そして午後1時半ごろ。益子容疑者が運転する白い乗用車は東海村役場に現れ、玄関に突っ込んだ。益子容疑者は病院に運ばれたがけがはなく、夕方に建造物損壊容疑で逮捕された。 県警は8日朝、同容疑で益子容疑者を水戸地検に送検。午後には県警が益子容疑者の自宅アパートを家宅捜索した。午後2時半前に捜査車両2台が到着し、段ボール箱などを持った捜査員が続々とアパート内に入っていった。容疑者とみられる人物がJCOに訴えた内容 捜査関係者によると、益子容…この記事は有料記事です。残り1283文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「算額は当時のSNS」日本独自の和算描かれた絵馬、宮司が解説冊子

 日本独自の数学「和算」を絵馬などに描き、寺社に奉納した算額。岐阜県養老町高田の田代神社宮司、大橋裕幸さん(62)が自社に奉納された算額を解説する冊子を作った。原文(漢文)と読み下し文、現代語訳だけでなく、現代数学で解いた解説、英訳までつけた。 田代神社には1841(天保12)年に納められた算額が残る。正方形の1辺の長さを使って同じ面積の円の直径を表す問題など、幾何学5問。うち3問は10代前半の少年が作ったものとされ、末尾に大垣の和算家、谷幽斎の名が謹閲者として、刻まれている。 完成した冊子「田代神社の算額 江戸和算文化の真髄(しんずい)を伝える」は2部構成になっている。前半では額の内容の説明に、額に登場する谷幽斎や、出題した少年たちの解説を加えた。数学を娯楽として楽しむ文化 ただ、算額には問題と解答しかなく、解法は記されていない。そこで、後半には可児市在住の和算研究者、深川英俊さん(80)らに現代数学の手法で解いてもらい、分析と解説をつけた。 「自作の問題を自慢しあって、見た人も感心しながら解いてみる。算額は、当時のSNSだった」と深川さんは言う。「大学がなかった時代に、地域にこれだけ高度な数学があった。数学を娯楽として楽しむ文化。教え子に考えさせる教育。この算額から学ぶことは多い」と話す。 和算は近年、海外でも注目されており、深川さんの解説には英訳も添えた。英訳は、高校で英語を教えていた大橋さんのこだわりで、自身も英文で「DO try!」と呼びかけた。 多くの専門家に多角的な分析を依頼したため、完成には2年かかった。大橋さんは「歴史的な解説も、数学的な分析もつけた。幅広い人に知ってもらいたい」と話す。 冊子は、A4判55ページ。1部500円(税込み、送料別)。問い合わせは同神社(hirohasi@wh.commufa.jp)。(池田孝昭)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

他界した夫の浮気を暴露してきた友人 美輪明宏さんは「性の悪い人」

 10ほど年上の夫が他界して3年がたちます。先日のことですが、60年来の友人女性から突然、「あなたの夫が昔、浮気してたこと、あなた自身も知っていたのでしょう?」と言われました。 彼女によると夫の浮気相手は小料理屋のおかみで、2人は夫婦然として店に出ていたそうです。生前の夫には、そんなそぶりは全くなかったというか、私は一切気づいていなかったので、本当に青天の霹靂(へきれき)でした。 しかも、周囲のうわさでは「奥さん(私)が承知の上で、夫を女に貸している」と言われていたとも……。 冗談じゃありません。私はよその女に夫を貸すほど、お人よしでも悪趣味でもない。友人は、当時何も言ってくれませんでした。夫の死後3年も経ってから聞いても、あの人に問いただすことも、怒りをぶつけることも出来ず、悩みを抱えたまま苦しみ続けるしかありません。 もし本当なら、夫も浮気相手のことも腹立たしいのはもちろんですが、この友人も意地悪ではないかと思ってしまう私は間違っているのでしょうか。この気持ちをどうしたらいいか教えてください。回答者 歌手・俳優、美輪明宏さん はっきりいって、この友人は意地悪ですね。関係が60年来だろうが1年だろうが、そんなことを言う人は常識はずれです。しかも、亡くなって3年ですよね。 ご主人が、その小料理屋に飲みに行っていたことは本当でしょう。しかし、おかみさんと深い関係にあったとは全く思えません。飲み屋には色んな人が集まり、好き勝手に言う人もいます。そして私も昔、よく飲み歩いていましたが、カウンターの中に入って他のお客さんの話を聞いて接客のまねごとをするお客さんは、私の当時の知り合いでも一定数いらっしゃいましたから。そうすることで、日常生活を忘れられるというのです。 知らない人や酒場に慣れてい…この記事は有料記事です。残り702文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

ネット広告 再生89万回で広告費35万円 前江東区長、過少説明か

 4月の東京都江東区長選で初当選した木村弥生・前区長(58)=11月に辞職=の陣営が、選挙中に違法な有料ネット広告を掲載したとされる事件で、動画は4種類制作され、再生回数は計約89万回、広告費は計約35万円(税抜き)に上ることが、関係者への取材でわかった。木村氏側は会見や区議会で、再生回数や広告費を実態の4割程度に過少説明しており、東京地検特捜部は虚偽だった可能性があるとみて調べている。 江東区は今月6日、木村氏の議会答弁に「虚偽の内容が含まれる疑いがある」として、約462万円の退職手当の支給を一時差し止めると発表している。 この問題で木村氏は、8月に弁護士同席で会見を開いた。弁護士の説明によると、広告は6秒の動画で、木村氏の映像に「木村やよいに投票してください」という文字を組み合わせていた。選挙期間中に動画投稿サイト「ユーチューブ」で流され、再生回数は「37万9473回」、広告費は「14万3742円」だと説明していた。4本の動画、それぞれ違うメッセージ 弁護士は「支援者が単独で行…この記事は有料記事です。残り486文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル