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「全科目勉強したい」共に学ぶ喜び体感 夜間中学の開校控え体験授業

 熊本県内初の夜間中学「ゆうあい中学校」が4月に開校する。1月22、23日に体験授業会が開かれ、計46人が参加した。 ゆうあい中は、県立湧心館高校(熊本市中央区)の敷地内に設置される。校舎は2016年の熊本地震後に建てられた南阿蘇の応急仮設住宅の資材を活用したもの。冷暖房を完備し、三つの教室に、保健室、職員室がある。 22日はオンライン参加1人を含む23人が参加し、1月末完成予定の校舎を見学した後、体験授業に臨んだ。 1時間目は数学の授業。正方形を複数組み合わせた図形の周囲の長さを求めることがテーマだった。 正方形を構成する辺に注目し、多様な算出方法を考えることで数学的な見方を広げることが狙い。参加者たちは周囲と相談しながら、たし算やかけ算を使って計算する方法を考えた。 2時間目は音楽。琴の演奏に…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

変わり果てた故郷、兄は今どこに 道路が遮断、捜索現場の過酷な状況

 能登半島地震から3週間が過ぎたが、19人の安否がわかっていない(石川県発表、23日午後2時時点)。大量の土砂に阻まれた地区や、二次災害の危険もある現場で、いまも捜索が続いている。そしてそれを見守り、救出を待つ家族がいる。 輪島市東部に位置する町野町の寺山地区。発災直後、孤立状態に陥ったこの地区では、伏木野(ふしきの)茂雄さん(68)の行方がわかっていない。 「自然ではない木が見えます」「家屋の一部でしょうか」 19日午後、東京消防庁の隊員約80人がスコップで土を掘り起こしていると、無線が鳴り響いた。 土砂崩れで伏木野さんの自宅は数百メートルにわたって流された。2.4キロ手前で寸断 現場は過酷だ。 落石のおそれのある地点に赤いテープが張られている。余震を知らせるブザーとともに指揮官の「上を見て」という声が飛ぶと、隊員らは異変がないか、周囲に目を凝らす。余震が起きる度、作業は中断する。 伏木野さん方に続く道は2・4キロ手前で寸断され、重機は通れない。 隊員らは現場に入るため、急斜面にロープを張ったり、行く手を阻む木々を切ったり、ぬかるみに橋を渡したり。たどり着くまでに1時間半はかかる。 もともと別の県の消防隊が作業していたところに、東京消防庁も参加。19日になってようやく、自宅があったと思われる場所が特定された。「また来るね」。その3日後に 「なんとか見つかってほしい。それだけです」 市外に住む伏木野さんの妹(66)はそう話す。 週に1回は実家でもある伏木野さん方に顔を出し、一人暮らしで足が不自由な兄の通院や買い物を手伝ってきた。 地震の3日前にも訪れ、料理を作り置きした。「年の瀬で私も忙しかったでしょ。『また来るね』と話して、すぐ帰ったんです」 強い揺れに見舞われた元日、兄の携帯電話を鳴らしてもつながらない。町野町は「孤立集落」と報じられ、駆けつけることもできない。市役所に電話し、安否が分からないと告げると、「自衛隊が向かうと思います」。どこも混乱していた。 捜索が始まったと聞き、17日、震災後初めて兄の自宅に向かった。だが、自宅につながる唯一の道は途絶え、消防隊員の足跡や、目印に残したテープを追って、ようやくたどりついた。 15歳まで暮らした故郷の姿は一変していた。 誰とでも仲良くなる朗らかな兄。幼い頃、土砂崩れがあった斜面でスキーをして遊んだこともある。「正月はテレビを見て寝転がっていたことでしょう。怖かったろうと思います」「1、2分で土砂が流れてきた」 輪島市中央部に位置する市ノ瀬町でも山が頂上付近から崩れ落ち、住宅約10棟が押し流された。 曲田(まがりだ)克也さん(64)と千恵子さん(64)、垣地(かきち)英次(ひでつぐ)さん(56)の3人と連絡が取れていない。 現場は大量の土砂に覆われている上に、川が土砂で塞がれて雪解け水などをせき止め、危険な状態が続いている。二次災害に備え、土囊(どのう)で囲まれた範囲を警察官などが捜索を続けている。 家の前まで土砂が来たという男性は「地震から1、2分で土砂が流れてきたのであわてて逃げた。地震前より山が近くなっている気がする」と話した。 23日現在、輪島市ではこのほかに11人が、珠洲市では4人が、震災との関連はわかっていないが安否不明のままだ。(小早川遥平、黒田陸離)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「総合型へ入試をシフト」 東北大総長が語る改革、25年後の姿

 東北大の大野英男総長は昨年、入試の一般選抜について「全て総合型選抜へ移行したい」と表明した。これまで増やしてきた総合型の枠をさらに広げ、「未来を描ける人」「多様な才能を持つ人」を世界から集めたい、と狙いを語る。(上野創) ――昨年9月、国際卓越研究大の認定過程で、入試の全てを将来、東北大が「AO入試」と呼ぶ総合型選抜にすると打ち出しました。 現在は一般選抜で点数順に決めるのが最も公平と受け止めている。今後は、学力を担保しつつ多様な人を受け入れる入試が必要だ。少子化のなか、大学が多様な人材を集め、そういう人が活躍できる教育がポイントになる。そのためにAO入試シフトを進める。 AO入試は2000年に導入し、全入学者の30%に達した。学ぶ意思、意欲が高く、学生全体を引っ張ってくれている集団と評価している。 ――今後の進め方は? 来年度中に「アドミッション機構」を作り、国内向けにAO入試の企画と改善、海外向けに優秀な留学生を集める戦略を担当してもらう。学部の留学生比率を今の2%から10年後に9%、25年後には20%に上げ、入った瞬間に「グローバル」と感じる大学にしたい。 積極的に学生を選ぶリクルー…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

筑波大学長「入試は面接と論文中心に」 背景に留学生と少子化

 筑波大の永田恭介学長は昨年、入試の一般選抜について、筆記試験から面接などに重点を置く方式に変えていく意向を表明した。背景には、留学生を増やす中で「入試を平等にしたい」との考えなどがあるという。(上野創) ――昨年6月の記者会見で「一般選抜の2次試験を面接と小論文中心に変えたい」と述べました。 まず、留学生を大幅に増やす中で、日本の受験生向け試験との違いをなくしたいと考えた。留学生比率が上がれば、教科試験の勉強をしてきた日本人受験生からは「留学生は小論文と面接で入れるのに、不公平だ」と文句が出る。全世界の受験生に対して「筑波大は公平」を前に出そうというのが根っこにある。 もう一つ、少子化が進む中、今の試験では落とされている才能を見いだしたい。例えば、論理的に考えるといっても人によってやり方は様々。同じ問題に違う方向からアプローチする人がほしい。「異能、異才」というか。これが入試を変えるもう一つの理由だ。 どんな入試を開発したらいいかは難しいが、何年もかけてやるしかない。 海外の有名大学の入試では、筆記の難度は大学入試センター試験ぐらいだが、長時間の面接と長い論文を課す。テーマは正解のない問いで、例えば「死刑はなぜ廃止しなくてはならないのか」など。日ごろから物事を論理的に考えていることが要求される。 ――今の2次試験は不十分という認識か? 知識を問う問題と論述の問題…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

神宮外苑再開発の樹木保全、具体策の審議は来月以降に 工期に影響か

 多数の樹木伐採が批判されている明治神宮外苑地区(東京都)の再開発について、事業者側の樹木保全策が今月30日の都環境影響評価審議会では審議されないことが分かった。事業者側は、都に求められている樹木保全の具体策を1月にも審議会に報告したい意向を示していたが、来月以降の審議会に合わせて報告されることになる。 事業者側は「検討を続けており、十分に精査した上で提出する」としている。高木の伐採は、保全策が審議会の了承を得られた後に始める考えで、審議が2月以降となることで伐採を含む工期に影響しそうだ。 再開発工事は昨年3月に始まり、昨夏には高さ3メートル以上の高木の伐採開始も予定されていた。しかし、事業者側が表明していた新たな工夫による樹木保全策が「未提示だ」と都が指摘。高木の伐採開始前に示すよう事業者側に求めている。 再開発は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4者による民間事業。神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替え、超高層ビル2棟も新築する。837本を植樹する一方、700本以上の高木を伐採する計画に批判の声がある。(土舘聡一)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東京―仙台・高崎間、新幹線終日運休 架線150メートル垂れ下がる

 23日午前9時58分ごろ、東北新幹線上野―小山間と上越・北陸新幹線上野―熊谷間で停電が発生し、東京駅と仙台、新潟、長野各駅間で上下線とも運転が止まった。同日午後には、復旧作業に向かった作業員が感電する事故も発生。各新幹線の東京―仙台間と東京―高崎間は終日運休した。JR東日本は、24日始発からの運転再開をめざす方針という。 JR東によると、大宮―上野間の線路を確認したところ、さいたま市中央区内の上り線で列車に電気を送る架線が約150メートルにわたって垂れ下がり、架線を支える金具が数カ所壊れていた。また、停電発生時に現場にさしかかった金沢発東京行き「かがやき504号」は屋根の上にあるパンタグラフが2カ所とも壊れ、自走できない状態となっていたという。 JR東は架線に不具合があった区間にかがやき504号が入ったために異常な電流が流れ、送電がストップしたとみて調べている。 停電により、東京―大宮間で上下計4本の列車が立ち往生。さいたま市中央区付近の高架橋上に停車したかがやき504号では、停電発生から約3時間後の午後0時50分ごろから、乗客約360人にはしごを使って線路に降りてもらい、JR社員が非常階段で地上まで誘導した。下り3本はいずれも上野駅までバックして戻り、乗客を降ろした。 午後2時40分ごろには、復旧作業のために高架橋上を移動していた50代の男性作業員が感電する事故が発生。この作業員から火の粉を払おうとした別の男性作業員もけがをし、ともに救急搬送された。埼玉県警によると、男性1人が全身に大やけど、もう一人は両手にやけどを負ったという。JR東によると、搬送時は2人とも意識があったという。(細沢礼輝、野口駿)【動画】駅間で立ち往生した新幹線=遠藤雅彦撮影Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東北・上越・北陸新幹線、24日始発からの再開目指す JR東日本

 23日午前10時ごろ、停電によって東京駅と仙台、新潟、長野各駅間で上下線とも新幹線の運転が止まったトラブルで、JR東日本は23日夕、「24日始発からの運転再開を目指す」とした。 トラブルの影響で、23日は各新幹線の東京―仙台間と東京―高崎間は終日運休した。 復旧作業のために高架橋上を移動していた50代の男性作業員が感電する事故も発生。この作業員から火の粉を払おうとした別の男性作業員もけがをし、ともに救急搬送された。JR東によると、搬送時は2人とも意識があったという。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

朝鮮人追悼碑2月11日までに撤去 群馬県通知、費用3千万円も請求

 群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)にある朝鮮人追悼碑を所有する市民団体は23日、県庁で会見を開き、29日~2月11日に碑を代執行で撤去するとの通知を県から受けたことを明らかにした。 「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」は、県が昨年4月に出した撤去命令の取り消しを求める訴訟を前橋地裁に起こしており、2月7日には第1回口頭弁論が予定されている。事務局長の藤井保仁さんは「口頭弁論の前に壊しちゃえという姿勢は、乱暴だ」と話した。 一方、守る会による撤去命令の執行停止の申し立ては、「取り壊しても重大な損害がない」などを理由に同地裁で1月22日に却下されたという。 県から送られた代執行令書によると、昨年10月25日付で碑を年内に撤去するように「戒告」したにもかかわらず、応じないため代執行に踏み切るという。代執行にかかる概算の見積額は約3千万円。守る会に請求するとともに、撤去した追悼碑の引き取りも求めている。 これを受けて守る会は23日、代執行に抗議する声明を発表した。 声明は「(追悼碑の)碑文が…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「後輩らに大麻勧めた」検察指摘 早大元相撲部員の大麻事件初公判で

 大麻取締法違反(譲受未遂)の罪に問われた早稲田大学3年で元相撲部員の園田陽司被告(20)=福岡県内在住=の初公判が23日、福岡地裁であり、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役10カ月を求刑し、弁護側は執行猶予が相当と訴え、結審した。判決は30日。 起訴状などによると、被告は2023年7月中旬ごろ、高校時代の先輩にあたる福岡県内の広渡翔馬被告(22)=同法違反罪(所持)で公判中=に電話で依頼し、大麻を含む植物片1・568グラムを入れた郵便物1個を用意させ、譲り受けようとしたとされる。 検察側の冒頭陳述などによると、被告は22年ごろから、広渡被告に勧められ、大麻の使用を始めた。検察官の質問に対して被告は「最初は怖かったが、何度も勧められるうちに吸ってしまった」と述べた。23年2月ごろから、当時住んでいた東京都内の学生寮に大麻リキッドなどを送ってもらうようになったとも話した。 被告はまた、寮にいた時は週…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ALS嘱託殺人罪の医師「覚悟の上」、「捕まりたくなかった」とも

 2019年11月、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)に対する嘱託殺人などの罪に問われた医師、大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判が23日、京都地裁であった。被告人質問が続き、事件までの経緯を証言した。 大久保被告は女性と18年12月からSNSでやりとりを始めたとされ、19年10~11月には殺害を考え始めたと述べた。事件当日は打ち合わせのために訪ねる予定だったが、その日に実行する可能性もあると考え、薬物を持参したと説明した。 女性の京都市内の自宅マンションを訪問後、大久保被告は自身の手帳にあらかじめ記した「今日じゃないとダメか」「親御さんに連絡しなくていいか」という文言を女性に見せたという。すると、女性は文字盤を使い「死なせて」と意思表示をしたという。 殺害方法は胃に直接栄養を送る「胃ろう」に薬物を注入したとされる。大久保被告は「(女性が)満足そうに見えた。次第に反応がなくなった」とし、「見届けるのが義務」と考え、しばらく経ってから女性宅を後にしたと説明した。 弁護側が「犯罪だとわかった上でなぜ実行したか」と問うと、大久保被告は「困っている女性を放っておけず、何かしてあげたいと思った」と述べた。逮捕されることは「覚悟の上だった」とする一方、SNSのやりとりを消去するよう女性に求めた点を尋ねられると、「捕まりたくなかった」とした。 一方の検察側は、大久保被告が作成したとされる、医療行為に紛れさせて殺害する「マニュアル」の目的を質問。大久保被告は「生きることに悩む人の心の支えになればと。(マニュアルを読んで)命を終わらせられるのは悔しいと思い、拒否する人がいると思う」と述べた。 大久保被告は11年3月、知人の元医師、山本直樹被告(46)と共謀し、山本被告の父(当時77)を殺害した罪にも問われ、無罪を主張している。現場のアパートに呼び入れられた時、山本被告と心肺停止状態の父がいたと主張しており、この日の公判では「大変なことに巻き込まれたと思った」と述べた。(光墨祥吾、関ゆみん)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル