政府が東京と大阪に設置する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約が17日、始まった。だがその予約システムは、架空の接種券番号や生年月日などを入力しても予約できてしまうことがわかり、防衛省はシステムの改修を急ぐとしている。なぜこのような問題が起きたのか。兵庫県芦屋市のCIO(最高情報統括責任者)補佐官で、自治体の情報システムに詳しい立命館大の上原哲太郎教授に聞いた。
――なぜ架空の情報を入れても予約が取れたり、自治体との二重予約が防げなかったりするシステムが使われるのでしょうか。
まずシステムの仕様からお話しします。今回の問題の根本原因は、国と自治体との連携が予定されていない中、急きょ大規模接種センターが作られることが決まって、突貫で予約システムを用意したということにあると思います。
東京と大阪では別のシステムが使われていて、今回東京で使っているシステムは、私がCIO補佐官を務める芦屋市のほか、いくつかの自治体でも採用されているものと同じ会社のシステムです。
1日あたり最大1万人の予約を受け付けられるほどのシステムを一から作る余裕は無く、いくつかの企業があらかじめ作ったものの中から、今回のシステムが選ばれた。システム自体はごく最低限の作りです。
本来は、入力された番号がデータベース上にあるかどうかを登録時に確認するのですが、誰にどの接種券番号を割り振ったかという情報は各自治体が持っているので、その情報を全部集めるのは時間的に間に合わないと防衛省は判断したのでしょう。そこはバサッと切って、とにかく入力された番号を自治体に渡して、後から確認してもらおうという仕組みにしたわけです。
つまり、とりあえず予約を受け付けちゃって、後でゆっくりとデータベースと照合して「消し込み」作業をすればいいだろうと。我々情報屋さんからしたら、よくある話なんですよ。
「生かされていない」過去の気づき
しかも、登録時にデータベースと照合できるようにするとシステムが重くなるので、ものすごく殺到が予想されるときには避けた方がいい。ただ、それには前提条件があって、登録されたデータが「腐って」いてはだめ。後処理が大変なことになります。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル